内容説明
ウイグル族への「ジェノサイド」、国家安全維持法による香港民主化運動への弾圧、日本人スパイの検挙・拘束などを主導する国家安全省。同省などの情報機関は人民解放軍などとも並ぶ暴力装置であり、習近平国家主席はいまだそれらを完全掌握しているとは言いがたい。中国共産党の情報機関の設立は20世紀前半に遡り、中国国内で国民党と暗闘し、時に日本軍とは敵の敵としての関係を結ぶ一方で、党内における毛沢東の絶対的権威の確立を目指して活動してきた。共和国成立後も、毛沢東から習近平に至るまで、最高指導者の政敵を追い落とすことを主たる活動の一つとしてきた。同省指導者たちはどのように権力者を見極め、政敵を迫害したのか。なぜ権力に近づきながら、その多くが悲劇的な末路をたどったのか。同省指導者たちの歩みから中国現代史のもう一つの側面を描き出す。
目次
第1部 歴史編(潘漢年;康生)
第2部 現代編(喬石;周永康;国家安全大臣列伝;習近平政権の動向)
著者等紹介
柴田哲雄[シバタテツオ]
1969年、名古屋市生まれ。中国現代史研究者。2001年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学、2003年京都大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
毛沢東に始まる中国国家主席の政権確立の裏には国家安全省など諜報機関の暗躍があった。機関トップは隠然と権力を保持、習近平は未だ機関の完全掌握に至らない。権力への忖度、政敵への非情な攻略手段とは。トップの動向から描く裏面史。