内容説明
福祉政策ほど、私たちの生活を根本から左右する政策はない。にもかかわらず、貧困、介護、育児の制度はたいへん複雑で、全体像は迷宮のよう。まして政治で何が争われているか分かりにくい。政府や自治体の政策論議に深く関わりつつ、同時に批判的な視点も貫いてきた福祉政治論の第一人者が、貧困、介護、育児をめぐる生々しい政治に分け入り、そこでの対立点を明らかにしつつ、停滞から脱却する道筋を考える。「新しい生活困難層」が急増するなか、求められるのは「自立支援」かベーシックインカムか?老いを支えうる介護保険制度のための選択肢は?待機児童解消だけが保育改革の目標でよいのか?ベーシックアセットによる福祉国家再生という大きな頂を望みつつ、現実の複雑な地形からそこにたどり着くルートを探索した、類書のない福祉政治論の達成。
目次
序
第1章 「新しい生活困難層」と福祉政治(転換点となった年;日本型生活保障の構造 ほか)
第2章 貧困政治 なぜ制度は対応できないか?(生活保障の揺らぎと分断の構図;貧困政治の対立軸 ほか)
第3章 介護政治 その達成と新たな試練(介護保険制度という刷新;分権多元型・市場志向型・家族主義型 ほか)
第4章 育児政治 待機児童対策を超えて(家族問題の三領域;家族政策の類型 ほか)
第5章 ベーシックアセットの保障へ(福祉政治のパターン;社会民主主義の変貌とその行方 ほか)
著者等紹介
宮本太郎[ミヤモトタロウ]
1958年東京都生まれ。中央大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。立命館大学法学部助教授、ストックホルム大学客員研究員、北海道大学大学院法学研究科教授等を経て、中央大学法学部教授。専攻は福祉政治、福祉政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
●広がる生活不安をコロナ禍が追い打ち、やはり福祉政策こそ根本だ。今こそ、ベーシックアセットの保障へ。政府や自治体の政策論議に深く関わりつつ、同時に批判的な視点も貫いてきた福祉政治論の第一人者が、貧困、介護、育児をめぐる生々しい政治に分け入り、そこでの対立点を明らかにしつつ、停滞から脱却する道筋を考える。●本書の内容から*複雑な福祉政治を読み解く――「例外状況の社会民主主義」が「磁力としての新自由主義」に阻まれ、「日常的現実としての保守主義」へ *「新しい生活困難層」とは誰のことか 日本にいかなる分断関係が生じているか*介護保険制度や子ども・子育て支援新制度は、市場化に向かうのか*北欧ももはやそのままモデルにはならない 何が起きている?*ベーシックインカムでもベーシックサービスでもなくベーシックアセットを●福祉政策ほど、私たちの生活を根本から左右する政策はない。にもかかわらず、貧困、介護、育児の制度はたいへん複雑で、全体像は迷宮のよう。まして政治で何が争われているか分かりにくい。政府や自治体の政策論議に深く関わりつつ、同時に批判的な視点も貫いてきた福祉政治論の第一人者が、貧困、介護、育児をめぐる生々しい政治に分け入り、そこでの対立点を明らかにしつつ、停滞から脱却する道筋を考える。「新しい生活困難層」が急増するなか、求められるのは「自立支援」かベーシックインカムか? 老いを支えうる介護保険制度のための選択肢は? 待機児童解消だけが保育改革の目標でよいのか? ベーシックアセットによる福祉国家再生という大きな頂を望みつつ、現実の複雑な地形からそこにたどり着くルートを探索した、類書のない福祉政治論の達成。