内容説明
日本の近代史は暴力で彩られている。明治維新、自由民権運動―。こうした事件や騒動には、無頼漢やヤクザなどの「暴力専門家」が密接に関係していた。暴力と民主主義が絡み合いながら共存してきた日本の近代史の中で、暴力はいかにして民主主義を促進すると同時に脅かす存在であり得たのか。そして、民主主義はいかにして暴力を生み出すと同時にそれを内に抱え込んだのか。政治暴力の文化と民主主義はどのようにしてまったく同時に作動し得たのか。明治時代の博徒から第二次世界大戦後の暴力団まで、「暴力専門家」たちのあり様を通して、暴力が政治の実践全般に深く埋め込まれていたことを明らかにする。
目次
第1章 愛国者と博徒―暴力と明治国家の成立
第2章 暴力的民主主義―悪党と議会政治の誕生
第3章 暴力の組織化と政治暴力という文化
第4章 ファシストの暴力―戦前の日本におけるイデオロギーと権力
第5章 民主主義の再建―戦後の暴力専門家
最後に 暴力と民主主義
著者等紹介
シナワ,エイコ・マルコ[シナワ,エイコマルコ] [Siniawer,Eiko Maruko]
1975年、アメリカ合衆国カリフォルニア州フレズノ市生まれ。ウィリアムズ大学歴史学部教授。1997年、ウィリアムズ大学卒業。1999年、ハーバード大学で修士号(東アジア研究)取得。2003年、ハーバード大学で博士号(歴史学)取得
藤田美菜子[フジタミナコ]
英日翻訳者。出版社で雑誌・書籍の編集に携わり、その後フリーランスの編集者・翻訳者に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
日本の近代は暴力で彩られている。暴漢やヤクザなどの「暴力専門家」は歴史上の事件や騒動の主役だった。暴力がいかに民主主義を推進し、脅かしたのか。民主主義がいかに暴力を生み出し、抑止したのか。気鋭の歴史学者が描く驚愕の裏面史。