内容説明
ナウマンゾウだけではなかった!才能を見込まれて20歳で来日、東大の初代地質学科教授となり、日本の地質構造を明らかにしたお雇い外国人。来日直後にフォッサマグナを発見して以後、超人的な行程で調査に邁進し、滞日10年で現代に遜色ない高精度の日本地質図を完成させた。帰独後、その功績は日本でかき消され、帰国後の人生も母国でほとんど知られていない。同い年の弟子たちとのいさかい、寝取られた最初の妻をめぐる決闘、留学生森鴎外との論争を含め、東大で地質学を学んだ著者が、図書館に眠る資料を掘り起こし、波瀾万丈の足跡と日本地質学の黎明期を描き出す。
目次
第1章 「日本へ行ってみるかい」 一八五四‐七五
第2章 フォッサマグナとの出会い 一八七五‐七六
第3章 お雇い外国人による地質調査競争 一八七六‐七七
第4章 東京大学地質学科初代教授 一八七七‐七八
第5章 地質調査所の創設へ 一八七八‐八〇
第6章 結婚、決闘、離婚 一八八〇‐八二
第7章 地質調査、そして地質調査 一八八二‐八四
第8章 日本地質図の完成へ 一八八四‐八五
第9章 帰独、凱旋講演、森鴎外との論争 一八八五‐八八
第10章 日本は遠く 一八八七‐一九二七
著者等紹介
矢島道子[ヤジマミチコ]
1950年生まれ。古生物学者・科学史家。1981年東京大学大学院理学系研究科修了。理学博士(古生物学)。東京成徳大学中・高等学校教諭などを経て、現在、首都大学東京などで非常勤講師(科学史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
明治8年、弱冠20歳で来日。東大地質学初代教授となり、列島の大断層を見いだしたが輝かしい業績よりも今はゾウ化石の名の由来として、母国ドイツで森 外に「凹まされた」人物としてのみ知られる。消された波乱万丈の日々を描き出す。