内容説明
戦前は「立憲君主」、戦後は「象徴天皇」として一貫した行動をとり続けた昭和天皇。その足跡を丹念に辿りつつ、「昭和の意味」を浮き彫りにし、天皇という存在の意義を改めて問い直す昭和天皇史。上巻は、誕生から学習院初等学科、東宮御学問所での帝王教育とヨーロッパ外遊、結婚、日中戦争と日米戦争を経て、終戦、地方行幸までを詳述する。明治草創期に伊藤博文らが考え出した、近代国家としての天皇制のシステム。それが昭和に入り軍部によって歪められたとき、きわめて原則的な性格を持ち、帝王学を受けてきた昭和天皇の懊悩は深かった。天皇としてどうあるべきなのか。昭和という時代の矛盾そのものであったその懊悩を、多くの史料から明らかにしていく。
目次
プロローグ 崩御のとき―昭和六十四年一月
1 帝王教育とヨーロッパ外遊
2 軍部暴走の時代
3 日米戦争突入へ
4 終戦、国民とともに
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年北海道生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。ノンフィクション作家、評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。独力で『昭和史講座』の刊行を続け、2004年、第52回菊池寛賞を受賞。2017年、『ナショナリズムの昭和』(幻戯書房)で第30回和辻哲郎文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
戦前は「立憲君主」、戦後は「象徴天皇」として一貫した行動をとり続けた昭和天皇。その足跡をたどりつつ、日本という国、日本人にとっての天皇という存在の意義を改めて問い直す。上巻は誕生から太平洋戦争・終戦まで。