内容説明
新宿の歓楽街は、酒場、ソープランド、ゲイタウン、女装者のコミュニティ、レズビアンが集まる店などが混在する、他に類のない地域だ。今にぎやかな歌舞伎町界隈はもともと場末で、戦後まもなく都電の停留所が移転してきて栄えるようになった。闇市に起源をもつ飲み屋街がいくつもあり、非合法な買売春が行われた「青線」だった。新宿御苑に近い「二丁目」は、江戸の宿場町・戦前の遊廓・戦後の「赤線」といった男と女の色街の跡地だ。1958年(昭和33)の売春防止法で、買売春が黙認されてきた「赤線」は没落、そこに1960年代末からゲイバーが集まりだして、世界有数の「ゲイタウン」が形成されていく。古地図や写真の中に、街の片隅に、わずかに遺されたかつての「性なる場」の痕跡を掘り起こし、「盛り場・新宿」ができあがる過程を読み解く。
目次
第1章 「新宿遊廓」はどこにあった?
第2章 「赤線」とは何か(1)―その成立
第3章 「赤線」とは何か(2)―実態と経済
第4章 「赤線」とは何か(3)―その終焉
第5章 新宿の「青」と「赤」―戦後における「性なる場」の再編
第6章 欲望は電車に乗って―都電と「赤線」
第7章 「千鳥街」を探して―焼け跡・闇市系飲み屋街の記憶
著者等紹介
三橋順子[ミツハシジュンコ]
1955年生まれ。性社会・文化史研究者。明治大学・都留文科大学・関東学院大学非常勤講師。主な研究分野はトランスジェンダー(性別越境)、買売春(戦後)の歴史的分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
【社会科学/社会】ヘテロ、ゲイ、レズビアン、女装者が共存する「性なる街」の歴史地理。新宿が御苑周辺から西に拡大しながら、さまざまな性が共存する盛り場になっていく過程を、地図や交通網、地形、古老の証言によって解説する。古地図・古写真多数掲載。
三橋順子[ミハシジュンコ]
著・文・その他