内容説明
明治維新以降の軍事主導国家への歩みのなかで、その中心に座っていた昭和陸軍とその指導者たち。彼らは多くの錯誤を犯し、国家を存亡の危機に陥れ、敗戦をもって自らを解体に追い込んだ。日中戦争が長期化するなか、1941年12月8日、指導者たちは何の長期的展望もないまま、太平洋戦争をはじめた。3年8カ月続いたこの戦争で、歩兵重視の肉弾攻撃、補給・兵站思想の軽視、意味もなく命じた玉砕と、それらに対する自省のないまま、次々に同じような作戦を命じた指導者たち。彼らの組織体制、人間思想、戦争観はどのようなものであったのか。国内外500人余の関係者への聞き取りに加え、膨大な資料を整理し、愚かな戦争がなぜ行われたのか、その解明に挑む。著者渾身の力作。
目次
第1部 昭和陸軍前史―建軍からの歴史
第2部 昭和陸軍の興亡(張作霖爆殺事件と関東軍の陰謀;関東軍参謀・石原莞爾と満州事変;満州建国と陸軍軍人の錯誤;皇道派と統制派―二・二六事件の二つの顔;二・二六事件の判決はいかに誘導されたか ほか)
著者等紹介
保阪正康[ホサカマサヤス]
1939年北海道生まれ。同志社大学文学部社会学科卒業。ノンフィクション作家、評論家。「昭和史を語り継ぐ会」主宰。独力で『昭和史講座』の刊行を続け、2004年、第52回菊池寛賞を受賞。2017年、『ナショナリズムの昭和』(幻戯書房)で第30回和辻哲郎文化賞受賞。医学・医療、社会事象、教育をテーマにした著作も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
【社会科学/政治】昭和陸軍はなぜ多くの錯誤を犯したのか。国家を滅亡の危機に陥れ、国民に過酷な運命を強いた昭和陸軍とはどのような組織だったのか。500人余りの関係者の証言と膨大な資料から、その解明を試み実像を描いた著者渾身の力作。
保阪正康[ホサカマサヤス]
著・文・その他