内容説明
人には頼りになる人とならない人がいる。実は法律も同じ。たとえば成年後見制度。時間と費用をかけて成年後見を任命しても、独居老人が急病のとき、役に立たない。たとえばリビング・ウィル(終末期医療に関する事前指示書)。本人が慎重にせっかく書いたものでも、法律上は無視しても構わない。たとえば遺言。相続争いを避けるために作成した遺言が効力をもたないとされる場合がある。たとえば高齢者虐待。もっと早く発見する法制度が実はできていない。要するに、法律制度が「若年社会」仕様で、「高齢社会」のものになっていないのだ。著者は高齢者法の第一人者で、東大での講義をもとに、わが国の法律のどこに問題があり、それをいかに改めるかのヒントをわかりやすく説明する。すでに3300万人以上いる高齢者と、もうすぐ高齢者になる人たちが、老後の安心を得るための格好の書。
目次
第1章 高齢者問題は法律問題
第2章 超高齢社会の現状認識―法律家のあり方
第3章 高齢者医療と法
第4章 高齢者と成年後見制度
第5章 高齢者と住まい―終の住処の選び方
第6章 高齢者の経済的基盤・財産の承継
第7章 高齢者をめぐるさまざまな課題
著者等紹介
樋口範雄[ヒグチノリオ]
1951年新潟県生まれ。東京大学法学部卒。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。専門は英米法、医事法、信託法。厚労省社会保障審議会医療部会委員、法務省法制審議会(信託法部会)委員、厚労省「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」座長など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
終末期医療、住まい、相続、虐待、犯罪……高齢者が直面する問題の大半は実は法律問題! 裁判に巻きこまれるという意味ではなく、法律家の助言なくして老後の安心はありません。身近な事例を通して考える現代人必読の書。