内容説明
「私はこの囚人の身代わりになりたい」(マキシミリアノ・コルベ)なぜそのような行為ができたのか?アウシュヴィッツに斃れた聖人に心を動かされた二人の日本人の軌跡。英Times紙が絶賛したノンフィクション、待望の日本語版。ポーランド南東部、ウクライナとの国境地帯にある村。この小さな村に建つ教会に、一本の桜の樹がポツンと立っている。そして近くのあずまやには、明らかに日本人の顔をしたマリア像が立っている。桜は、マリア像はどこから来たのか?調べる過程で著者は戦争の恐ろしさとともに、感動的な人間ドラマへと導かれることになった。
目次
プロローグ
第1部 占領下の祖国 一八九四‐一九二九年
第2部 黒装束の男たち 一九三〇‐一九三六年
第3部 栄光と敗北 一九三六‐一九四五年
第4部 叫びと囁き 一九四五年
第5部 破滅のあとで 一九四六‐一九五一年
第6部 悔恨と発見 一九五一‐一九七〇年
第7部 光に向かって 一九七一‐一九八九年
第8部 希望の花びら 一九九〇‐二〇二三年
エピローグ 二〇二三年七月 ポーランド、ストラホチナ
著者等紹介
阿部菜穂子[アベナオコ]
在英ジャーナリスト、ノンフィクション作家。元毎日新聞記者で、日本語と英語の両方で執筆活動を続ける。『チェリー・イングラム 日本の桜を救ったイギリス人』(2016年、岩波書店)で第64回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。同書を全面的に改稿した英語版‘Cherry’Ingram:The Englishman Who Saved Japan’s Blossoms(2019年、ペンギン社)は英米の主要各紙、BBC放送等で取り上げられて大きな反響を呼び、英国歴史作家協会の最優秀ノンフィクション賞にノミネートされた。同書はドイツ語、オランダ語、イタリア語等8カ国語で出版されている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
アウシュヴィッツに斃れたコルベ神父、原爆を生き延び信仰の道に進んだ田川幸一(のちの小崎登明)、北海道で捕虜虐待や強制労働の実態調査を続け、海外への桜の寄贈を続けた浅利政俊の3人を主人公に、戦争の時代に平和を求め続けた人びとを重厚に描き出すノンフィクション。英Times誌絶賛のノンフィクション、待望の日本語版。
【目次】