内容説明
腹八分目で育てたネズミは寿命がのびる―全てはそこから始まった。長寿の鍵となる栄養素はなにか。腹八分目で、老化そのものも防げるのか。そして不老長寿の薬は…!?発展いちじるしいこのテーマを、気鋭の研究者が展望。「それでもお腹いっぱい食べたい」人々の切なる食欲にも向き合いつつ、健康長寿への飽くなき探究をあざやかに描く。
目次
1 腹八分目の生物学の夜明け
2 長寿の虫、あらわる―寿命と遺伝子のはなし
3 寿命にかかわる栄養素を特定せよ
4 「効く」アミノ酸を探せ!
5 「腹八分目」はどこに効く?
6 それでも食べるのをやめられない理由
著者等紹介
小幡史明[オバタフミアキ]
1984年、4人兄弟の3番目として東京都荒川区に生まれ、埼玉県越谷市で育つ。2012年、東京大学大学院にて博士課程修了。博士(薬学)。博士取得後、東大で3年、英国ロンドンで2年半、東大に戻って3年半修行した後、2021年より理化学研究所神戸キャンパスにて研究室を主宰。栄養や腸内細菌によって健康寿命が伸縮する機構を、ショウジョウバエを用いて研究中。2020年、科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞。最近は霊長類マーモセットを使った栄養研究も進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
「腹八分目」で育てたネズミは寿命がのびる――全てはそこから始まった。長寿の鍵となる栄養素はなにか。腹八分目で、老化そのものも防げるのか。そして不老長寿の薬は……!?発展著しいこのテーマを、気鋭の研究者が展望。「それでもお腹いっぱい食べたい」人々の切なる食欲にも向き合いつつ、健康長寿への飽くなき探究を描く。
【目次】
プロローグ
1 腹八分目の生物学の夜明け
食べすぎの戒め
ラットの食餌制限で寿命が延びた
ミジンコでも延びた!
ハエでも、線虫でも、酵母でも
コラム◎蚊も腹八分目を知る?
2 長寿の虫、あらわる――寿命と遺伝子のはなし
モデル生物と遺伝学――宝探し時代の訪れ
一つの変異で寿命が倍に
栄養と遺伝子がつながった
ハエでも、マウスでも同じ遺伝子
体が小さい方が長生き!?
3 寿命にかかわる栄養素を特定せよ
栄養といえばカロリー
気にすべきはカロリーではない?
寿命を最大化させる配分は
アミノ酸が鍵だった
コラム◎腸内細菌と腸活のはなし
4 「効く」アミノ酸を探せ!
個性的なアミノ酸たち
メチオニンだけを減らしてみると
メチオニンかSAMか、それが問題だ
腸の老化と健康寿命
SAMは腸老化にかかわる
長寿のそばにいつもメチオニン
メチオニンだけじゃない?
非必須なのに重要!?――定説への挑戦
さらにややこしい話、アミノ酸感知
結局、長寿スイッチをONにするには
コラム◎全部ホルモンのせい?
5 「腹八分目」はどこに効く?
そもそも老化とは――12の指標
食餌制限でおこること
いざ、ヒトでの大規模実験
タンパク質摂取とヒトの寿命
若いうちが肝心
老化を遅らせる薬の開発へ
6 それでも食べるのをやめられない理由
我々は食べるために生きている
バッタの「タンパク質欲」
ヒトもタンパク質欲に支配されるか
食欲増強のしくみ
次世代を残すか、長く生きるか
生存戦略としての食餌制限応答
エピローグ 結局、我々はどう食べるべきなのか
おわりに
引用文献