内容説明
人類史上初の総力戦―その帰趨を決したのは、狭義の戦力というよりも、各交戦国の政治力や経済力や技術力、いわゆる国力の優劣だった。鉄鋼、資金、労働力から人の心に至るまであらゆる「資源」が動員された大戦では、兵士はもちろん、銃後の人々もまた戦争を生きぬく当事者となった。戦場、銃後、収容所に映る総力戦の諸相を考察し、大戦の総体性に迫る。
目次
1 総説(戦争を生きる)
2 兵士と戦場(西部戦線のアイルランド・ナショナリスト―戦場の共有は和解の契機たりうるか?;チェコスロヴァキア軍団―未来の祖国に動員された移民と捕虜;収容所を生きる)
3 戦争を支える社会(戦債と社会―第一次世界大戦と「公債の民衆化」;善意の動員―イギリスにおける戦争チャリティ;こころの動員―包摂装置としての戦争精神医学)
4 女性の戦争(女性であること、兵士であること―バルカンの女性兵士フローラ・サンデスの大戦経験;食糧生産を支える女性たち―「農村婦人」の動員)
著者等紹介
山室信一[ヤマムロシンイチ]
1951年生。京都大学人文科学研究所教授。法政思想連鎖史
岡田暁生[オカダアケオ]
1960年生。京都大学人文科学研究所教授。西洋音楽史
小関隆[コセキタカシ]
1960年生。京都大学人文科学研究所准教授。イギリス・アイルランド史
藤原辰史[フジハラタツシ]
1976年生。京都大学人文科学研究所准教授。農業史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
人類史上初の総力戦──その帰趨を決したのは、狭義の戦力というよりも、各交戦国の政治力や経済力や技術力、いわゆる国力の優劣だった。兵士はもちろん、物資や資金、国家のあらゆる資源が動員された大戦では、銃後の非戦闘員もまた大戦の当事者となった。兵士の経験や市民社会の戦争協力の諸相を探り、大戦の総体性を考察する。