内容説明
現代社会が直面する問題の根源は資本主義システムにある。歴史上、資本主義社会をもっとも深く分析したマルクスの経済理論の意義はいまだ失われてはいない。マルクスが紡いだ一つ一つの概念に光をあて、MEGAの新資料にもとづき『資本論』を丹念に読み解くことで、そのテキストがもつ今日的な可能性が見えてくる。「マルクスなきマルクス経済学」から脱却し、その到達点を正確につかむ最新の研究成果。
目次
序章 本書の課題と視角
第1部 資本主義システムの存立根拠(マルクスの経済理論の課題と方法;市場―均衡論批判の基礎;貨幣―貨幣数量説批判;資本主義の存立根拠―所有基礎論批判)
第2部 資本主義システムの矛盾と危機(剰余価値と資本蓄積―資本の生産過程における支配・矛盾;資本の流通過程と再生産―社会的再生産の撹乱条件;利潤率の傾向的低下法則―法則の内的諸矛盾の展開;信用と恐慌―貨幣資本の蓄積と現実資本の蓄積)
第3部 資本主義システムの超克と現代(現代資本主義―利潤原理から脱利潤へ;アソシエーション―資本主義システムの超克)
著者等紹介
宮田惟史[ミヤタコレフミ]
1983年生まれ。現在、駒澤大学経済学部教授。専門は経済理論・経済学史。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学後、北海学園大学経済学部専任講師、駒澤大学経済学部准教授、ロンドン大学・SOAS客員研究員などを経て現職。第7回経済理論学会奨励賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
その思想的側面が注目を浴びることはあっても、経済理論としては見向きされなくなってしまったマルクス。しかし、経済学批判としてのマルクスの意義はいまだ失われてはいない。一つ一つの概念に光をあて、その経済理論の可能性を内在的に描きだすことはできるのか。『資本論』の到達点を正確につかむ最新の研究成果。