商品説明内容説明
経済危機に対して各国で採られている経済政策の多くは、ケインズ経済学が教える財政出動と金融緩和であり、ここ半世紀近く主流を占めている新古典派マクロ経済学、すなわち「ミクロ的基礎づけを有するマクロ経済学」が勧める政策ではない。なぜ現在のマクロ経済学は、現実の危機に無力なのか。それは、現実を直視せず、「数学的な知的遊戯」におぼれているからではないか。本書では、自然科学分野の一般的なツールである「統計物理学」に学び、経済学の巨星ケインズとシュンペーターの遺産を融合することで、現実の経済を解明し有効な処方箋を描くことのできる、マクロ経済学のあるべき姿を提示する。
目次
第1章 標準的な「ミクロ的基礎づけ」はなぜ間違っているのか
第2章 統計物理学の考え方とマクロ経済学
第3章 ケインズ経済学のミクロ的基礎づけ―確率的マクロ均衡
第4章 景気循環―有効需要の役割
第5章 需要の飽和と経済成長―ケインズとシュンペーターの出会うところ
第6章 物価と賃金
第7章 金融市場/資産価格と実体経済
第8章 結論―マクロ経済学のあるべき姿
補論 先駆者たち
著者等紹介
吉川洋[ヨシカワヒロシ]
1951年生まれ。74年東京大学経済学部卒業後、イェール大学大学院でPh.D取得。ニューヨーク州立大学、大阪大学、東京大学を経て、立正大学経済学部教授、立正大学学長。東京大学名誉教授。内閣府経済財政諮問会議民間議員(2001‐06年、2008‐09年)、社会保障国民会議座長(2008年)。専攻はマクロ経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
「ケインズ経済学はミクロ的基礎づけを持たない」という批判の下に出来上がった現代のマクロ経済学は、数学的には洗練されたが、リーマンショック時に分かった様に現実経済を説明できない。本書では、経済物理学という新たな道具を用い、ケインズとシュンペーターの遺産を生かし、現実を説明できるマクロ経済学を志向する。
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