内容説明
19世紀に発見された『法華経』サンスクリット原典写本のヨーロッパでの初の出版(ケルン・南条本)から100年。本書は、複数のサンスクリット・テキストに綿密な校訂を施し原典テキストを確定させるとともに、深い仏教理解に基づいて詳細な注解を付した画期的達成である。8年がかりの、一点一画をも疎かにしない原典に忠実な訳業により、曖昧さを残さない、読みやすいこなれた現代語訳がここに完成した。テキスト相互の対照を可能とすべく、サンスクリット原典、鳩摩羅什による漢訳テキストも併記した。
目次
第1章 序(序品第一)
第2章 巧みなる方便(方便品第二)
第3章 譬喩(譬喩品第三)
第4章 信順の意向(信解品第四)
第5章 薬草(薬草喩品第五)
第6章 予言(授記品第六)
第7章 過去との結びつき(化城喩品第七)
第8章 五百人の男性出家者たちへの予言(五百弟子受記品第八)
第9章 アーナンダとラーフラ、そのほか二千人の男性出家者への予言(授学無学人記品第九)
著者等紹介
植木雅俊[ウエキマサトシ]
仏教研究家(東方学院)、1951年生まれ。九州大学大学院理学研究科修士課程修了。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退。86年に東洋哲学文化賞受賞。91年から東方学院で中村元氏の下でインド思想・仏教思想論、サンスクリット語を学ぶ。学位請求論文「仏教におけるジェンダー平等の研究―『法華経』に至るインド仏教からの考察」でお茶の水女子大学から人文科学博士の学位を授与される(男性では初めて)。日本ペンクラブ会員、日本印度学仏教学会会員、比較思想学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
【2008年度 毎日出版文化賞(企画部門)受賞】