内容説明
それは何のために、いかにして書かれたのか。消息文や楽書など、先行する様々なテクストとの格闘を通して、書記行為の可能性を広げていった『徒然草』の姿を時代のなかに描き出す。
目次
「随筆」という陥穽
第1篇 『徒然草』「第一部」の始発―「消息」という方法(「消息」の時代―中世文学史のなかの『徒然草』;楽書の批評性―藤原孝道と「消息」;「文」の特質―阿仏尼と「消息」;「つれづれ」と光源氏―無聊を演じること)
第2篇 『徒然草』「第二部」の転回―新ジャンルの創成(「よき人」の語り―不特定読者への意識;つぶやく兼好―世継との交錯;心構えの重視―書記行為と「心」;「忍びやか」な精神―『徒然草』が目指したもの)
付篇 各段鑑賞(第八九段―奥山に猫またといふ物;第一〇五段―北の屋陰に消え残りたる雪;第二三六段―丹波に出雲といふ所)
随筆の誕生―式部から兼好へ
著者等紹介
中野貴文[ナカノタカフミ]
1973年山口県生まれ。1997年東京大学文学部卒業。2005年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学、博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)。熊本大学准教授を経て、東京女子大学現代教養学部教授。日本中世文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社内容情報
先行する様々なテクストとの格闘を通して,書記行為の可能性を広げていった徒然草の姿を描き出す.
中野 貴文[ナカノ タカフミ]
著・文・その他