多目的マスキングベルト

ストーマ造設以来、それ迄とは勝手が違う様々な悩みが発生しますが、まずはオストメイトの皆さんが温泉や公衆浴場にパウチを気にせず皆と一緒に入浴出来ないか、から着想した製品です。そのために極力目立たないマスキングベルトのデザインにこだわり、色、サイズ、素材を選んでいます。

更に製品化を検討する中で、オストメイトの最大の関心事の一つのバルーニング防止や、パウチの前面をフィルターで覆うことで、おなら音の遮音、ガス抜きフィルターからの臭い漏れ対策等、多目的にご使用いただける製品です。

オストメイト及び腹部ヘルニアでお悩みの方向けの多目的マスキングベルトです


本製品の開発にあたって


1、パウチの装着期間を少しでも長く

入浴時にパウチ面板を水滴や水流から保護します。
弊社のオストメイトのライフスタイル調査において、”入浴時にはパウチを何も覆わないまま入る”という方が64%というデータが挙がってきています。実はこれ、パウチの装着期間を短くしている可能性があります。

1,パウチを何かで覆うことなく、むき出しのままシャワーを浴びることは、シャワーの水滴が面板を直撃し、湯水が面板の淵から侵入しやすい状態になっています。

2,同様にパウチを覆わずに入浴した場合、パウチがお湯の中でプカプカ浮遊することで、面板の淵に力が加わり、剥がれを促進する方向に働きます。

パウチの装着期間を1日でも長持ちさせたいと思われている方は、面板を保護テープで覆ったり、パウチ全体をベルトで覆うことが有効です。本製品は、パウチ自体が水滴から面板を保護するように覆い、かつ湯舟の中でも固定されることで剥がれを抑制する効果をもたらします。


2,自然な目隠し(公衆浴場へ)

弊社のオストメイトのライフスタイル調査において、”温泉などの公衆浴場へは行かない”という方が70%を超えています。厚生労働省のサイトにはオストメイトの公衆浴場での入浴は認められている(きちんとパウチを装着することが前提です)にもかかわらずです。


その理由は、お腹にパウチを装着している姿が周囲の人々には奇妙に映り、そんな目を気にするくらいなら公衆浴場へ行かず、部屋のお風呂や家族風呂へ、ということです。更に家族と同居していても一人でお風呂に入るという方が、これも70%以上という結果が出ています。ストーマ造設以後の入浴はずっと一人で、と。

本製品は、そんなオストメイトの入浴スタイルから、公衆浴場へ家族、友人と一緒に楽しく入浴出来るよう、可能な限り目立たないマスキングベルトを念頭に開発した製品です。

3,日常生活における消音、消臭対策

オストメイトにとって、お腹の正面から発生するおなら音は、周りの人達以上に本人が気にする問題です。また、臭い漏れに関しても敏感にならざるを得ません。本製品は、ベルト内にパウチの収納パウチポケットの他に、パウチの前面を覆い、突発的なおなら音の遮音フィルターや、ガス抜きフィルターから漏れ出ているかもしれない臭いを吸収するための防臭フィルターを入れるフィルターポケットを付けました。

4、就寝時のパウチのガス抜き(バルーニング抑制)

 弊社サイトに掲載中のレポートtips2(ガス抜きフィルターって機能してる?)でも述べていますが、パウチの排気口は何も力を加えないとフィルターからの脱気に数時間の時間を要し、バルーニング現象を引き起こしてしまいます。一方パウチにわずかでも力を加えることで、排気口から徐々にガスが抜けて行く様子が観察されました。そこで就寝中にパウチに適度の圧力を加え続けるため伸縮性ベルトで覆うことが有効だと考えました。

5、腹部ヘルニアの矯正ベルトとして

オストメイトの他に腹部ヘルニアでお悩みの方は、その範囲に応じ薄めのアクリル板や厚紙等を各ポケットに入れることにより飛び出した腹部の矯正に使用できます。

製品の特長



1,可能な限り小さく、目立たせない

ベルトの着装を"目立たせない"ために、マスキングベルトの色、サイズにこだわりました。
◎ 色: 日本人の肌色に近いベージュを採用。特に湯水につけた際に色がわずかに沈み、自然な肌色へと溶け込みます。


◎ サイズ(帯幅): パウチを覆うことを目的としていますが、腹帯としてはベルト幅が最細仕様となっています。フロント部で17cm、バック(背中側)は更に細く11cmとし、お尻の凸部による捲れを軽減します。

それでもお尻の上部が捲れる方は、バック幅を細く裁断可能です。本生地ははさみでカットしてもほつれが発生せず、カット用の弊社型紙をダウンロード、プリントした上で細く加工することが可能です。

◎ サイズ(フロント部): 幅広のフロント部は全サイズ共通の34cm(自然長)。パウチポケット幅は各16cm(自然長)で、ウェストに装着した際には全種類のパウチを収納可能です。

◎ 素材 : 肌触りの良い伸縮素材で、パウチの膨らみが分かりにくく、ウェストのシルエットをすっきり見せます。

2,消音、消臭対策

弊社tipsでも取り上げた防音フィルター実験(tips28-3)では、薄く柔らかい素材でも人間の可聴音域にて遮音効果が期待できます。↓(左側)の写真は、人間の可聴域である20Hzから20KHzにおける防音フィルターの一例(1mm厚の合皮2枚の重ね合わせ)ですが、300Hz〜20kHzの範囲で最大30dB程度の消音が出来ています。


素材屋さんで売っている出来るだけ目の詰まった素材がお勧めで、弊社でも今後も素材別の消音実験を行っていきます。更にその上から薄い消臭フィルターを入れることにより、消音+消臭のそれぞれの相乗効果を生み出していきます。

本マスキングベルトは、これらのフィルター群をパウチの前に覆い被せることができるよう↑(中央、右)の写真のようにベルト内部に、パウチポケットとフィルターポケットを別々に用意しました(写真では左右にパウチとフィルターがそれぞれ別に挿入していますが、実際のご使用の際は、パウチとフィルターは重なって装着されるものです)。またストーマがおへその左右どちらにあっても対応できる2サイドポケット仕様になっています。

また腹部ヘルニアにお悩みの方にも、0.5mm厚程のアクリル板や1mm程度の厚紙を患部の大きさに応じてポケットに装着することで患部の膨らみを抑制します。

3,就寝時パウチのガス抜き(バルーニング抑止)、パウチのねじれ対策

マスキングベルトでパウチを覆いますが、パウチをポケットに収納せず、そのまま伸ばした状態で就寝ください。適度な圧力をパウチに加え続けることでパウチの排気口(ガス抜きフィルター)から常に脱気を促します。 フィルター部の汚れを事前に取り除いた状態で使用することにより有効に機能します。更に就寝中のパウチのねじれも防いでくれますので、ねじれによる面板の剥がれ対策としても有効です。

4,Made in Japan

マスキングベルトで実績のある(株)セルヴァン社との共同開発製品です。製造もセルヴァン社に委託しておりますので、その品質に関しては折り紙付きです。

製品概要

1,サイズ:ウェスト、ヒップサイズに応じてS、M(s)、M(L)、Lの4サイズ

2,素材:伸縮性合成繊維(ナイロン66%、ポリウレタン34%)

3,色:ベージュナチュラル

4,ウェストサイズ適応表

◎ サイズ選びについて(ヒップサイズについてご注意願います)

本マスキングベルトは、市販されているパウチ用サポートベルトとは異なり、ズボンを足からはくと同様にして装着します。従ってウェストサイズが表中の"適応範囲"内でも、ヒップサイズが範囲を超えている場合は、装着できません、その上のサイズをお選びください

各サイズの最大長(Max.(cm))は、ウェストまたはヒップサイズの大きい方です。ヒップサイズが上の表の”ウェスト/ヒップMax”以下であることをお確かめください(通常のヒップサイズは、ウェストサイズの1.1~1.4倍程度です)。

↑(右)の表から複数のサイズが適応する場合は、どちらでも装着可能ですので、お好みにより”きつめ、緩め”をお選びください。防臭フィルターや防音フィルターの装着をお考えの方は、多少余裕のあるサイズをお勧めします。ヘルニア対策を主にお考えの方は、多少きつめをお勧めします。

上の右側の表ではウェスト72cmの場合の選び方をご説明します。ヒップ周りが75cm以下(*1)であれば、S、M(s)、M(L)とも装着可能です。Sサイズではきつめの装着感、M(s)はジャストフィット、M(L)ではゆるめ、ということになります。
(*1):通常のヒップサイズは、ウェストサイズの1.1~1.4倍程度です。


5,その他
〇 本製品は、ご自宅の洗濯機で何度でもお洗いいただけます。
〇 消音フィルターパックの販売開始をしましたのでご活用ください。また本製品以外でも身近な素材で、消音フィルターとしてご使用できる素材もありますので、弊社サイトの”おなら音の防音フィルター素材に関するレポート:Tips28-3”も参照ください。