異次元緩和の罪と罰 (講談社現代新書 2753)

日銀発「危機」の本質が明快にわかる と絶賛の声が続々と 藤巻健史氏(元モルガン銀行東京支店長) 「安倍元総理が、もし彼をブレインに選んでいたら、いまの日本経済はバラ色だったに違いない 高橋亘氏(元日本銀行金融研究所所長) 「異例の政策を見つめた元日銀理事による良識の書。簡明な説明で問題点がわかる」 (本書の内容) 2024年3月、日本銀行はついに「異次元緩和」に終止符を打った。前総裁氏の就任直後に導入して以来、11年近くもの歳月が流れていた。いま振り返って気づくのは、日本経済が世界に例をみない異形の姿となったことだ。日銀が保有する国債残高は約590兆円に上り、普通国債の発行残高の56%に達する(24年3月末時点)。中央銀行が政府の資金繰りの面倒をみることは、財政規律を維持するための人類の知恵として、世界的に禁じられてきた。市場経済を掲げる国の中央銀行として異例の事態である。 財政規律の後退も著しい。IMF(国債通貨基金)の世界経済見通し(2024年4月)によれば、政府の財政状態を示す「一般政府の債務残高対GDP比率(22年見込み)」は257%と、世界約190ヵ国・地域中第2