柄谷行人『力と交換様式』を読む (文春新書 1410)
1970年代後半から文芸批評家として活躍し、90年代後半からはマルクスやカント、ホッブスの読解から「交換」に着目した理論で社会や歴史を読み解いてきた柄谷行人さん。 その集大成ともいうべき『力と交換様式』では、社会システムをA=贈与と返礼の互酬、B=支配と保護による略取と再分配、C=貨幣と商品による商品交換、D=高次元でのAの回復という4つの交換様式によって捉え、とりわけ資本主義=ネーション=国家を揚棄する、人間の意思を超えた「D」の到来をめぐって思考を深めた。 「Aの回復としてのDは必ず到来する」。 民主主義と資本主義が行き詰まりを見せる混迷の危機の時代、 絶望的な未来に希望はどう宿るのか。その輪郭はどのように素描可能か。 『トランスクリティーク』『世界史の構造』、そして『力と交換様式』を貫く「交換様式」の思考の源泉に迫る。 ーーーーーーーーーーーーーー I:著者と読み解く『力と交換様式』 ・「柄谷行人」ができるまで ・『力と交換様式』をめぐって 柄谷行人×國分功一郎×斎藤幸平 ・モース・ホッブズ・マルクス II:「思考の深み」へ ・可能性としてのアソシエーション、交換様式論