馬頭観音は観世音菩薩が衆生救済のために変化する六観音の一つで、六道輪廻の畜生道の教主とされる観音様。六観音の中で唯一忿怒の形相で表現され、動物に転生した畜生道の衆生を救うだけではなく、病気をもたらす諸毒や煩悩、悪鬼などを喰らい尽くすといわれています。
馬頭観音は元々阿弥陀如来が本地仏なので、本来の心である柔和な表情の馬頭観音も数多く多く作られています。
※その仏様の本来の姿の意味。
馬頭観音はもともと不動明王と同じ忿怒相の仏様。怒っているのは悪霊退散のためやむを得ずしている表情で、阿弥陀如来の慈悲心の表れとされています。怒った顔は悪霊退散には効果がありますが、安寧をもたらしてくれる仏様としては少し怖いですよね。
密教の仏教経典『理趣経』では穏やかな柔和相の馬頭観音についても説かれており、「導きの馬頭観音」はよりあなたやあなたのペットが親しみやすいように童子形の仏像に仕立てました。ペット供養のご本尊として慈悲心に満ち溢れた優しい表情の馬頭観音に見守られれば、天国のペットもきっと幸せを感じてくれることでしょう。
仏像の手はそれぞれ自分の教えやどのように衆生を救済するかを示す印相を結びます。馬頭観音の印相は「根本馬口印」というもので、障魔退散を願う「根本最勝印」と、病気をもたらす諸毒を解く「摂毒印」を合わせた馬頭観音独自の印相。小指で馬の耳、薬指で眼、中指で鼻、人差し指と親指で口を表現しているとされています。
馬頭観音が鎮座する蓮華座の下には、古くから霊石とされ浄化の力がるとされる天然水晶の宝珠を埋め込みました。蓮華と宝珠は観世音菩薩の陀羅尼(だらに)※「六字大明呪」で讃えられる法具で、成仏の妨げとなる罪を浄化し、仏の教えに導く力があるとされています。
※サンスクリット語で唱えられる呪文のこと。
まで180年の歴史を誇る民間芸術です。2006年には中国国家級非物質文化遺産に登録されています。
この「導きの馬頭観音」は伝統工芸「楽清黄楊彫刻」の細密彫刻の技を堪能できる逸品。馬頭観音のかわいらしい表情はもちろん、馬頭観音の象徴である馬頭冠や怒髪の頭髪、根本馬口印の指先の表現に至るまで精緻に彫り込まれています。
適度に硬く肌理が緻密な素材の黄楊は「木の象牙」と呼ばれ、彫り上げると木の油分で光沢が生まれます。また経年変化で徐々に艶やかな飴色に変化していくので風格が増していきます。
1977年、浙江省永嘉縣生まれ。幼少時より木彫りに親しみ、成人後に中国四大彫刻の一つ・楽清黄楊彫刻の開祖・葉承栄の直系で、日本の人間国宝に相当する中国工芸美術大師・四代葉潤周を祖父に持つ六代葉森祥に入門。10年の修行を経て葉氏彫刻の伝承者として認められ独立。国、省の展覧会や美術展で受賞を重ね、葉氏彫刻の若手のホープとして期待される逸材である。現在、永嘉縣工芸美術評議委員会会員。