世界 2021年 11月号 岩波書店

特集1:反平等 新自由主義日本の病理
ネオリベラリズムの嵐が去りつつある。国際社会において、この数十年にわたって政治経済を席巻してきた新自由主義――格差を増大させ、市民の分断を促し、連帯を崩し、環境・気候を破壊してきた――は、乗り越えられつつある。その中心は、若い世代だ。確実に、新たな社会と経済のありかたを構想すべき季節が来ている。問題は、日本だ。「生活保護の人に食わせる金があるなら猫を救ってほしい」、「ホームレスの命はどうでもいい」。あるタレントの発言が物議をかもした。屈折しながら社会に内在化した自己責任論が、格差と差別を正当化する。命は平等でなくてもいいのか。格差とは、平等とは、何なのか。公平ということと何が違うのか。政治的価値/目標としての平等を、あらためて共有するために、特集する。