直売場の兼六人参平ほしいもは、静岡一の干し芋を受け継いでいます! |
人参芋は、カロテンを多く含む赤肉のサツマイモの総称です。たくさんの品種がありますが、直売場の人参芋の品種は“兼六”です。 この“兼六”は、静岡一の干し芋名人の兼子和三郎さんが、長年優良選抜した兼六を継承して育てた人参芋の平ほしいもです。 |
農家泣かせと言われているのが人参芋です! |
干し芋の主力品種の玉豊(たまゆたか)の半分ほどしか収穫量がない人参芋は、産地でも数軒の干し芋農家が作付けしているだけです。“兼六”に至っては3軒の農家だけしか栽培していない超希少品種です。 育ちづらい上に、皮むきやスライス時に身が崩れやすいこともあり、農家泣かせのサツマイモと呼ばれています。
人参を想わせる風味と味わい、個性的な甘さは、直売場の干し芋の中でも孤高な存在です。
兼六人参平ほしいもは、干し芋らしい甘さと共に、人参っぽいクセがある甘さなので、好き嫌いが分かれる干し芋です。しかしそれだけに、熱烈な人参芋(兼六)ファンができる干し芋でもあります。 |
干し芋作りは一年がかりです。 |
早春、冬の干し芋作りが終わってまだ間もない頃、苗作りが始まります。 大事にしまっておいた種芋を倉から出します。苗半作と言われる位、苗作りは重要です。3月から5月にかけて逞しい苗を育てます。 その間、畑も土作りを行います。
夏は草取り、虫取りです。 苗を畑に植えると梅雨になります。ここでしっかりと根付いた苗は、夏から秋にかけて大きく成長します。 けれど、畑では、サツマイモと競い合うように雑草が伸びます。虫も美味しいサツマイモの葉を目当てにやってきます。 暑い中ですが、寒い冬の干し芋作りのために、草取りと虫取りが日課になります。
毎年ドキドキしながら、芋掘りをします。 10月後半から11月初旬にかけてが芋堀りです。 春から大切に育てたサツマイモがどう育ったかは、掘ってみないと分かりません。
掘ったサツマイモは畑で天日干しにします。こうすると丈夫で美味しい干し芋の原料のサツマイモになります。 そして、冬将軍が来るまで倉で寝かせておきます。
すべてが手作業です。 江戸時代から作られている干し芋ですが、作り方は当時と同じです。 サツマイモを洗って、蒸かして、皮をむいて、スライスして、天日干しにします。そのすべてが手作業で行われます。
ひとつひとつのサツマイモを丁寧に美味しい干し芋になるように心を込めて作ります。
天日干しに勝る仕上がりはありません。 平干し芋で約1週間、丸干し芋だと1ヶ月近くかけて天日干しで仕上げます。 冬の短い日差しを目一杯活用します。 手間はかかりますが、天日干しの干し芋が一番美味しく仕上がります。
春から作り始めたサツマイモは冬に干し芋に仕上がります。 大地と太陽の恵みと、農家の想いがこめられています。
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