内容情報
私が松川事件に関心を持ち始めたのは、
第一審で死刑、無期、その他の極刑の宣告を受けた被告達が、
獄窓から彼等の無実を世に訴えるために綴った
血のにじむような文章を集めて出版した
『真実は壁を透して』を読んでからであった。
(中略)
私は別な場合にも度々云ったが、
この『真実は壁を透して』に載っている総ての文章は、
決して嘘や偽りでは書けない文章であるという事が先ず私を打ったのである。
被告達の述べている事は真実に違いないという事を
彼等の文章をよむと信じないではいられなくなったのである。
(「真実は訴える――松川事件・判決迫る 広津和郎」より)