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かつて日本の空に君臨した旅客機の代表といえばボーイング747ジャンボジェットだった。今でも空港へ行くと子連れの親が「ほら、ジャンボ機がいるよ」などと話しているのを聞くが、実際にはほとんどのジャンボ機が退役してしまっており、人々は旅客機を意味する代名詞として「ジャンボ機」という言葉を使っているに過ぎない。そんな現代において圧倒的な存在感を放っている機種は、ボーイング787やエアバスA330に代表される双発・ワイドボディの中型機だ。
かつては国内線や短距離国際線が活躍の中心だった中型機。しかし、その性能と信頼性が向上したことにより、双発機の長距離運航に適用される制約が緩和され、結果的に航空会社にとって最も使い勝手の良い旅客機となった。燃費効率が高く低コストで運航できるうえ、適度な機体サイズが高需要の幹線だけでなく中〓低需要の路線にもフィットする「オールラウンドさ」を兼ね備えているからだ。
なかでもボーイング787ドリームライナーは、複合材料の多用による大幅な軽量化と新型エンジンをはじめとする最新装備で運航効率の大幅な向上を実現した「夢の旅客機」。ライバルのエアバスも、これに対抗してA350やA330neoといった新型機を相次いで開発した。そして多くの航空会社が中型機を主力機として導入した結果、とりわけ国際空港は中型機の姿で溢れていると言っても過言ではない。十数年前まではローカル線などを主な活躍の場とする脇役にすぎなかった中型機は、いまや堂々たる主役の座に躍り出たのである。
本書では、中型機がエアライン界で中心的な役割を担う基礎を築いたボーイング787とエアバスA330を中心に、開発にまつわるヒストリーや最新テクノロジーの数々を盛り込んだ技術的特徴などを豊富な写真を添えながら解説。787へとつながるハイテク・ワイドボディ中型機の源流となった767や双発機A330とはエンジン数の異なる“異色の姉妹機”A340についても触れつつ、中型機が主役の座へ上り詰めるまでの変遷や理由について解き明かす。
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