内容情報
民族紛争の地で、音楽で人の心を繋ぐ日本人指揮者がいる
「一度バルカンに足を踏み入れたら、ずっとバルカンに携わることになる」
私が初めてバルカン半島のマケドニアに辿り着いたとき、もう何十年もそこに住む日本人から聞いた言葉だ。
まるで信じがたい言葉だったが、それから一〇年以上が経ち、確かにそのとおり、私はバルカンで働いている。
それはバルカンが魅力的な文化を持ち、複雑で、人間の喜怒哀楽から生まれた「共に生きる」という哲学を発見できる場所であるとい う証拠だ。
(「まえがき」より)
ユーゴスラビア紛争の傷跡が生々しいコソボに、民族や国の対立を音楽で乗り越え人と人を繋ぐ日本人指揮者、〓澤寿男はいる。
対立する民族の音楽家を集めて「バルカン室内管弦楽団」を設立し、平和を願い世界中でタクトを振る。
本書は、大小の「奇跡」に支えられ、情勢的に不可能と言われた民族共栄の楽団を創立した〓澤氏の活動と信念を綴ったノンフィクションである。
世界中でテロや宗教対立が激化している今だからこそ、すべての人に読んでほしい一冊。
好きな道を突き進むのに苦労はつきものだが、どこに行っても感謝を忘れずに思いきり音楽をしてほしい。
これが弟子・〓澤寿男への一番の教えです。
佐渡 裕