内容情報
ウンコを経済やエコロジーの視点で見つめ直す!
肥料、熱源、燃料、医療…。その活用分野は想像を超える。
ウンコ活用が日本の切り札になる!
日本人は平均で1日200グラムのウンコを排出する。
米国の150グラム、英国の100グラムと、欧米人と比べても多く、
日本は世界有数のウンコ排出大国だ。
近年、リンの主要産出国である中国が禁輸に動いたり、
ウクライナ危機でロシア、ベラルーシからの肥料の輸入が減ったことで、
ウンコの価値が世界的に注目されつつある。
肥料だけではない。
養殖海苔に窒素やリンを供給する栄養塩として、
下水熱を使ったビル空調や、冬場に凍結した雪を融かす熱源として、
また、自動車燃料、発電、宇宙ロケットの燃料として、
ウンコの活用分野は、我々の想像よりずっと幅広い。
ウンコとゴミでできた大阪版万博会場の夢洲の問題点や、
羽田空港と隣り合う日本最大の下水処理場のレポートを交え、
日本経済を立て直す「ウンコノミクス」の可能性を探る。
(目次より)
第一章 迫るXデー――リン酸が足りなくなる日
九割を依存した中国が禁輸に動いた 世界は化学肥料の争奪戦へ
第二章 ウンコ版「夜明け前」――バカにならない温室効果
羽田の隣は国内最大の下水処理場
第三章 再び「金肥」になる――ウンコの山は宝の山
発酵や乾燥で優れた肥料に
第四章 夢洲(ゆめしま)はウンコ島――悲しき埋め立て処分
大阪万博アンダーグラウンド
第五章 水産から半導体まで――生活を支える資源への回帰
海苔の養殖と下水道 金鉱山より金が採れる
第六章 ウンコは熱い――サステナブルな熱源
ハウスの加温に雪国の融雪 車を走らすバイオガス ロケット発射
第七章 先進国化が絶った循環――ゴミになったウンコ
蟯虫検査が廃止された理由
第八章 食糧輸入大国はウンコ排出大国――合わない養分収支
海外から栄養分を大量持ち込み 人も家畜も出す一方
【著者略歴】
山口亮子 (やまぐち・りょうこ)
ジャーナリスト。愛媛県出身。2010年、京都大学文学部卒業。2013年、中国・北京大学歴史学系大学院修了。時事通信社を経てフリーになり、農業や中国について執筆。著書に『日本一の農業県はどこか―農業の通信簿―』(新潮社)、共著に『誰が農業を殺すのか』(新潮社)、『人口減少時代の農業と食』(筑摩書房)、『図解即戦力 農業のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)がある。