資産格差の経済史/ダニエル・ヴァルデン

出版社名:みすず書房
著者名:ダニエル・ヴァルデンストロム、立木勝
発行年月:2025年05月
キーワード:シサン カクサ ノ ケイザイシ、ヴァルデンストロム,ダニエル、タチキ,マサル
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内容情報
ピケティ『21世紀の資本』のナラティブを超える、格差研究の最前線。

「本書は、格差が自然の法則でも、経済の法則でもないことを示している」
ダロン・アセモグル(2024年ノーベル経済学賞受賞)

「本書を無視できる者はいない」
ブランコ・ミラノヴィッチ(ニューヨーク大学教授)

「豊富な新データで、不平等をめぐる新たな歴史を提示している」
グレゴリー・クラーク(カリフォルニア大学デイヴィス校教授)

「ここ数十年で、西欧世界の私有財産は何倍にも増えて、わたしたちはかつてなく豊かになった。しかし、億万長者(その一部は同時に国際的な有名人)の急増を目にすると、すぐにこんな疑問が浮かんでくる――わたしたちが生きている時代は比類のない不平等の時代でもあるのではないだろうか?
広く受け入れられているナラティブは、そう、そのとおりだと主張する。このストーリーは、富を権力と不平等の道具として描き出す。その道筋は19世紀ヨーロッパから始まり、低い税率と最小限の市場規制によって野放しの資本蓄積が可能となって、それが二つの世界大戦まで続いたのち、累進課税政策によって富裕層の財産が減少した。しかし、と物語は続き、20世紀後半になって市場に優しい政策の波がくるとこの流れが押し返され、富の不平等は歴史的な高水準へと押し上げられてしまった、となる。
このお話は、魅力的ではあるが、大きな欠陥をかかえている。
この本の目的は、富の歴史にまつわる会話の枠組みを作り直すことにある。最新の歴史的データをてこに、既存の研究も踏まえながら、富の平等化の主たる触媒は戦争による破壊でも累進課税制度でもない、と主張する。こうした要素にも効果はあったが、それでは富の形成に働くもっと幅広い、強い力を説明できない。本当のゲームチェンジャーはふつうの市民のあいだでの資産所有の拡大であり、その原動力の大半が自宅所有と年金貯蓄だったことを示していく」(はじめに)