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「なんど同じことを言わせるの!」
子どもの問題行動に対してこのようなことを言ったことはありませんか?
実は、そう言っている教師自身も、子どもに「同じこと」しか言っていないのです。
この問題は教師が言葉かけの「種類」をもっていないからです。いかに教師が多くの言葉をもち、適切に使いこなせるかが重要です。身の回りの先生で子どもの心をグッとつかんで離さない先生はいませんか?その先生は「言葉の力」を身につけているのです。
【ケーススタディー】
〇(ほめ言葉)ほめる子が偏るとき
大切なのは、子どもの「結果」ではなく、「成長」に目を向けることです。「結果」だけに注目すると、ほめる対象はクラスの一部の子どもに偏ってしまいます。がんばっているのに結果が伴わない子どもは、「僕もがんばっているのに……」と落ち込んでしまいます。これでは、やる気がでるはずがありません。これまでの努力を認めつつ、「成長」を認める言葉を伝えましょう。
〇(叱り言葉)宿題をやってこないとき
子どもが宿題忘れを繰り返してしまうのは、子どもにとって「得」に感じられるからです。「家に忘れた」という言い訳が、「損」する体験になるように設定する必要があります。
〇(問いかけ言葉)ダンス練習に意欲的でないとき
一生懸命やるためには「活動のゴール」となる目標を設定する必要があります。話し合い、目標が決まったところで、達成することのメリットに思いを馳せられるようにします。また問題を解決するための策として、教師から 2 〜 4 程度の選択肢を提示します。その中から選択することにより、集団や個人の目標を決定します
〇(はげまし言葉)子どもが失敗して落ち込んでいるとき
子どもは、子どもなりに「なんとかしなくてはいけない」と思っているのです。そう思わない子は、落ち込みません。なんとかしたいけど、不安が強くて、どうにもできずにいるのです。だからまずは、不安な気持ちを受け入れてあげるようにしましょう。教師自身や他者の似たような失敗例を伝えることにより、安心感を生み出します。子どもは他者の例を知ることにより「自分だけじゃないんだ」と感じることができます。
〇(挑発言葉) 算数の問題で、子どもをやる気にさせたいとき
「簡単にできる」ことを、「簡単だ」と言っていては、子どもの心に火をつけることはできません。子どもをやる気にするために、簡単にできることを、難しいと伝えてみましょう。子どもがクリアできるレベルを設定して、「これはできないでしょう」と否定してみせます。そうすれば、子どもは「挑戦してみよう」と考えるようになります。
本書では、教師の言葉かけを、「ほめ言葉」「叱り言葉」「問いかけ言葉」「はげまし言葉」「挑発言葉」に分類し、さらにそれぞれに10ずつ具体的な技法を紹介します。合計すると、5種類50技法にもなります。300頁を超えるまさに教師の言