内容情報
【本書の紹介】
相続分野の最も大きな特徴は、法人のように取引を記録していく帳簿が求められないため、相続時点の財産をいかに正確に把握していくかということが重要な点になります。不明な点に関して被相続人にはもう聞くことができない状況ですので、申告書作成までのアプローチはもちろんのこと、遺産分割の対象となる財産の発見方法や相続人にどのように確認するかなどを事前に知っておく必要があります。
相続は一生に1度か2度くらいしか経験しないため、相続人は手探り状態のことも多く、手続き等に関する質問もよく受けることになります。相続税の計算に関しては、各種資料が出そろえば1つ1つ作業を進めることもできますが、その前提となる資料の集め方や読みこなし方、まずどういうアプローチから進めるべきかなどについては、初めてだとなかなかコツがわからないことも多く、この点が、実務に慣れていないと積極的に携わりにくい大きな要因であると思います。
本書においては、これらの問題をできる限り解決できるように、相続財産のアプローチに関するヒントや、相続財産の中でも多くの人が所有する不動産、預金等の資料の集め方や分析の方法を中心に解説を進めています。
相続税の課税対象者が増加したこともあり、民法の改正や相続登記の問題、それに伴う戸籍関係の証明に関する制度の改正など、今まで手間がかかったり、問題となっていた論点について、より解決しやすいような制度が構築されてきました。第3版では、これらの制度の解説を追加しています。
【著者プロフィール】
中島朋之
アクタス税理士法人 シニアパートナー。
税理士 行政書士 CFP 一級ファイナンシャルプランニング技能士。
1978 年東京都生まれ。横浜国立大学経済学部卒業、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程前期修了後、2003年にアクタスマネジメントサービス株式会社、アクタス税理士法人(旧:ASG税理士法人)入社。2016年にアクタス税理士法人のパートナー就任。法人の税務・会計コンサルティング業務、個人所得税業務、相続業務に従事。円満な相続の実現に向けた提案を心掛け、毎年数多くの遺産分割、相続税申告業務を行っている。
【目次】
第1章 資料を読み解くための心構え
1 相続案件を扱うにあたって
2 被相続人についての確認
3 相続人への質問
第2章 相続人の確定
1 相続人と相続分
2 戸籍謄本の取得と読み方
3 遺言書の確認
4 遺産分割協議書
5 配偶者居住権
6 名義変更手続き
第3章 財産の確定
1 財産の全体像を把握する
2 預貯金等の資料
3 不動産の資料
4 有価証券の資料
5 生命保険等の資料
6 所得税確定申告書
7 贈与税申告書
8 その他の資産の確認
9 債務の確認
10 葬式費用