内容情報
鍋や器などの暮らしの道具、靴やコートなどのおしゃれアイテム、椅子やベッドなどの家具、アートや哲学書など五感を磨くもの……。
作家、デザイナー、ギャラリーオーナーなど、21人の目利きたちがエイッと買ったら、暮らしや心まで豊かになった素敵なものを紹介する本。
・・・・・本誌イントロより・・・・・・・・・・
世の中には、安くていいものがたくさんあります。
そんなに無理をしなくても、気軽に手に入るもので
充分に暮らしていくことができます。
でも……。
エイッと清水の舞台から飛び降りるつもりで買ってみる。
そうやって手に入れたものを、10年、20年と使い続けるなかで、
見えてくる風景があります。
若い頃には、身の丈以上に思えた漆のお椀も、
使い続けるうちにつやを増し、
みそ汁をよそったその姿が、わが家の食卓の風景の一部となり、
毎日使う記憶が、ひとつひとつのお椀に宿ります。
そんな年月のなかで、漆のお椀ってどういうものなのかを学ぶ……。
背伸びをする、というのは
その価値がまだわからない、ということです。
でもなんだか心がときめいて、使ってみたくてたまらなくなる。
迷って、悩んで、よし! と決意するときのドキドキすること!
「わかってから」手に入れることは簡単です。
でも、「わからないまま」手に入れたものには、
その先に「わかっていく」という過程がつながっています。
ちょっと背伸びのもの選び。
そのいちばんのお楽しみは、
学び、感じ、知っていく時間を豊かに味わうことなのかもしれません。