内容情報
チャペック『ロボット PUR』から、オルテガ『大衆の反逆』まで
名著の中に問題解決の道を探す。
AIと超高齢化、ポピュリズムと全体主義、権力の偏重とタテ社会、人情と情緒、外交と経済運営――。長きにわたって読み継がれてきた古典は、私たちが抱えている課題解決へのヒントになる。ジョージ・オーウェルから有吉佐和子まで、数々の名著を現代の視点から読み解く。「日経BOOKプラス」の好評連載を大幅加筆。
各ストーリーには若干の加筆修正を施し、文末に小さなコラムを追加した。箸休めのようなものだが、このコラムだけを読んでいただくのも一興かもしれない。そして本書を読みながらつい転寝してしまう。そんな方こそが、筆者にとって最も心を許せる読者である。文中敬称略とさせていただいた。
【「はじめに」より】
【本書で取り上げた古典の一節から】 ・群集を操る手段は、「断言」、「反復」、「感染」である (ル・ボン『群集心理』) ・日本には政府ありて国民(ネーション)なし (福澤諭吉『文明論之概略』) ・戦前に戻してそこから軍国主義を抜けばよい (岡潔『春宵十話』) ・無条件降伏を要求されたのは軍隊だけで、日本の降伏は決して無条件ではない(『石橋湛山評論集』) ・隣国が豊かであれば戦争と国際政治では確かに危険だが、貿易では明らかに有利である (アダム・スミス『国富論』) ・生産者は消費者より徒党を組んで政治的な力を持ちやすい (ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』)