内容情報
『この国のかたち』の主人公は、国家としての、また地域としての、あるいは社会としての日本である。
「おや、あなたたちは、どこのどなただったかね」
と、明治の夏目漱石が、もし昭和初年から敗戦までの”日本”に出遭うことがあれが、相手の形相(ぎょうそう)のあまりのちがいに人違いするにちがいない。国家行為としての”無法時代”というべきそのころ(昭和初年から敗戦まで)の本質の唯一なものが「統帥権」にあると気がついたのは、『この国のかたち』を書いたおかげである(あとがきより)。
昭和前期、日本を滅亡の淵にまで追い込んだ軍部の暴走の影には、「統帥権」という魔物がいた。歴史から日本の本質を探る畢生の評論。1992〜1993
目次
馬
室町の世
徳
士
わだつみ
庭
松
招魂
別国
統帥権(一)
統帥権(二)
統帥権(三)
統帥権(四)
うるし
白石の父
近代以前の自伝
李朝と明治維新
長崎
船と想像力
御坊主
日本人の二十世紀
あとがき