内容情報
進歩という名の暴力に対する、「知性」の闘い──
クィア批評やメディア論における最重要人物、ついに入門書が誕生!
【おもな内容】
”反解釈・反写真・反隠喩”で戦争やジェンダーといった多岐にわたる事象を喝破した、批評家スーザン・ソンタグ。
あらゆる脆さにあらがう、その「カッコよさ」は、しかし生誕から90年を迎え、忘れかけられている。
本書は「《キャンプ》についてのノート」で60年代アメリカの若きカリスマとなったデビューから、「9・11事件」への発言で強烈なバッシングの対象になった晩年までの生涯とともに、ソンタグという知性がなぜ読者を挑発し続けるのかを鮮やかに描き出す。
自身のマイノリティ性や病にあらがい到達した思想の本質とは。
【目次】
はじめに
第1章 誰がソンタグを叩くのか
第2章 「キャンプ」と利己的な批評家
第3章 ソンタグの生涯はどのように語られるべきか
第4章 暴かれるソンタグの過去
第5章 『写真論』とヴァルネラビリティ
第6章 意志の強さとファシストの美学
第7章 反隠喩は言葉狩りだったのか
第8章 ソンタグの肖像と履歴
第9章 「ソンタグの苦痛」へのまなざし
第10章 故人のセクシュアリティとは何か
第11章 ソンタグの誕生
終章 脆さへの思想
おわりに
【著者略歴】
波戸岡景太(はとおか・けいた)
1977年、神奈川県生まれ。
専門はアメリカ文学・文化。博士(文学)〈慶應義塾大学〉。
現在、明治大学教授。
著書にThomas Pynchon’s Animal Tales: Fables for Ecocriticism(Lexington Books)、『映画ノベライゼーションの世界』(小鳥遊書房)、『ラノベのなかの現代日本』(講談社現代新書)など。
訳書にスーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ[完全版]』(管啓次郎との共訳、河出書房新社)など。