内容情報
講談社創業100周年記念企画として刊行された全集「興亡の世界史」の学術文庫版第一期のうちの第2冊目。
前近代における「シルクロード」とは、単なる「ロマン溢れる東西交易路」などではなく、まさに政治・経済・宗教・文化交流・戦争の現場、すなわち世界史の舞台だった。突厥、ウイグル、チベットなど諸民族が入り乱れたこの地域で、大きな足跡を残して姿を消した「ソグド人」とは何者か。唐は本当に漢民族の王朝なのか。著者オリジナルの最新研究成果をもとに騎馬遊牧民の動向を追い、中央ユーラシアの草原から中華主義とヨーロッパ中心史観の打倒を訴える。
[原本:『興亡の世界史 第05巻 シルクロードと唐帝国』講談社 2007年2月刊]
近代文明の源は西欧だという考えは近視眼的である。新大陸を含むグローバル世界になる前のユーラシア世界では、各地の諸民族・諸政治勢力は騎馬遊牧民が登場した約三〇〇〇年前から有機的につながっているのである。ある場所で生じた変化の波は、ある時は素早く、ある時はゆっくりと世界各地に波及していったのであり、近代ヨーロッパ世界はその長期波動の末に生まれてきたにすぎない。――「あとがき」より