おくのほそ道/松尾芭蕉

出版社名:講談社
著者名:松尾芭蕉、ドナルド・キーン
シリーズ名:講談社学術文庫
発行年月:2007年04月
キーワード:オク ノ ホソミチ、マツオ,バショウ、キーン,ドナルド
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内容情報
元禄2年、曾良を伴い、奥羽・北陸の歌枕を訪(おとな)い綴った『おくのほそ道』は日本文学史に燦然と輝く傑作である。簡潔で磨き抜かれた芸術性の高い文章、円熟した境地。私たち誰でもが馴染み親しむ数多くの名句も鏤(ちりば)められ、「わび」「さび」「かるみ」などの詩情が詠出される。日本人の心の文学は英語ではどのように表現されるのか。日本文学に造詣の深いキーン氏の訳で芭蕉の名作を読む。(講談社学術文庫)


ドナルド・キーン氏の英訳で芭蕉の名文を読む

元禄2年、曾良を伴い、奥羽・北陸の歌枕を訪(おとな)い綴った『おくのほそ道』は日本文学史に燦然と輝く傑作である。簡潔で磨き抜かれた芸術性の高い文章、円熟した境地。私たち誰でもが馴染み親しむ数多くの名句も鏤(ちりば)められ、「わび」「さび」「かるみ」などの詩情が詠出される。日本人の心の文学は英語ではどのように表現されるのか。日本文学に造詣の深いキーン氏の訳で芭蕉の名作を読む。

芭蕉は『おくのほそ道』の創造過程において、自らの芸術のためにはありとあらゆる形で正真正銘の事実に脚色を加えたのである。もう1つの例を挙げてみよう。芭蕉は「路ふみたがえて、石の巻といふ湊に出」と書いたが、別に道に迷った訳ではなく、石巻の金持ちに招待されたのである。また、相当に良い家に泊まっただろうが、この事実をも隠した。芭蕉は現在でも石巻では嫌われているそうである。――<本書「芭蕉における即興と改作」より>