セーブル 蓋付きボックス ペイル 24K金彩(No.108) ファットブルー フランス製 Sevres

フランスが誇るセーブル窯はポンパドール婦人の助力もあって、王立窯として発展を遂げました。1759年、王立セーブル製陶所となり、今もフランスの文化と美を伝える優れた陶磁器を生み出し続ける国立セーブル製陶所の歴史はここに始まります。セーブルの功績は、国家的使命ともいえるフランス独自の意匠を確立し、完成度の高い芸術作品を作り続けてきたことにあります。18世紀、セーブルは東洋芸術の様式をうけつぎながらも、当代一流の化学者、画家、彫刻家、金工家の参加によって独自の世界を創造しました。「王者の青」「ローズ・ポンパドール」と呼ばれるセーブルの色、華美で鮮麗な装飾、独特の風合を持つソフトペーストなど、他の追随を許さないセーブル芸術が、宮廷文化の中に華開いたのです。盛名を馳せたセーブルも、国窯という背景から生産は非常に限定され、世の人々の目に触れることはなく、「希少な陶磁器」と呼ばれました。今日に至っても、生産量は年間約6000ピースと限定され、そのほとんどがフランス国家のために作られます。この少量生産は、「最高の作品を作り出す」ための必然であり、その稀少性ゆえに、誇り高きセーブルの名声は一段と高まっています。
セーブルにおける新しい形体と装飾の創作は、長きにわたって管理職として勤務したd'Alexandre Brongniart(アレクサンドル ブロニヤール)(1800〜1847)の最後の数年を飾る大きな仕事になりました。1848年の革命の後、それはセーブルのスタイルと方針を改革するものとして決定的になりました。改革の代表的な例として画家でありセーブル工房のデザイン部門の責任者となったJules-Constant Peyre(ジュール-コンスタン ペイル)(1811〜1871)がいます。彼はこの食器セットを1845年に創作しました。
取っ手は型に流し込んで成型し、18世紀当時の技法による液状陶磁器で手作業で取り付けられています。最初に980度の温度で焼かれた後、無色の釉薬の中に素早く浸して、釉がかけられます。乾燥後に筆による修正を施した作品は1380度の高温で焼かれます。セーブルブルーの彩色は、着色と乾燥を繰り返し3回にわたり行われ、アナグマの毛の刷毛を用いて均一に修正されます。No.108の24K金彩装飾文様は型押し施されたのち手描きにより丁寧に仕上げられ、プチ・フー(金や色彩を低温で焼き付ける)技法がつかわれます。
焼き付け後は金彩を磨いて艶出しする技法(ブルニサージュ・ア・レフェ)でセーブル工房独自の瑪瑙や赤鉄石を使った技術で丁寧に磨かれることにより「時代物」の風格とサテンのような柔らかい輝きがもたらされます。
このフリーズ縁飾りは1834年から1847年にかけてセーブル工房で作られ、Lierre(リエール・ベルギーの都市名であると同時に蔦の意味もある)と名付けられています。この装飾は1911年に改定されました。