元永定正作品集 配送ポイント:19
日本の戦後を代表する前衛的で自由な美術運動「具体」の主要メンバーとして活躍し、その後も独自の抽象表現により、海外でも高い評価を得ている元永定正の代表的作品を収録。
元永定正氏との出会いは、兵庫県西宮市の津高和一氏の自宅での「庭展」でした。津高和一氏のご自宅は広い庭を囲んで、蔵や屋敷のある開かれた空間で、そこに、津高氏、元永氏を始めとする関西の「具体」のメンバーと、大岡信氏などの文化人や田中泯氏などの舞踏家も参加しておられ、新潟からポツンと参加した私にとっては、大変刺激のある文化広場だったのです。その後、元永氏には、博進堂の野外研修施設「点塾」のロゴタイプ(書体)の「点」という字を見ても分かるように、元永氏の作品は、既成の枠組みにとらわれない自由な発想と創造的な造形が特徴であり、ユーモアのセンスもあることからファンが多く、海外でも人気のある作家で、近年とみにその作品の価値は高まっているようなのです。お人柄も作品と同じく、大らかで気さくな方で、小作品を百点描いていただいて、割安価格で完売したということもありました。創庫美術館時代の良き思い出です。
(清水義晴)
【元永定正】
1922年(大正11)三重県上野市(現、伊賀市)生まれ。
1955年 第1回具体美術展以降71年退会まで全展に出品。
1958年ごろからアンフォルメルに影響され、絵の具の飛散や流れを生かした絵画を制作。
1959年トリノのプレミオ・リソーネ展で受賞。
1966年現代日本美術展で二度目の優秀賞を受け、渡米してニューヨークに滞在、翌年ヨーロッパを巡遊して帰国。激しい抽象表現主義から簡潔でユーモラスな作風に移る。
1971年現代日本美術展で京都国立近代美術館買上賞を受賞。
1983年美術文化振興協会賞や日本芸術大賞を受賞。
1991年(平成3)自ら手がけた絵本が絵本にっぽん賞を受賞。
1993年ベネチア・ビエンナーレ出品。96年成安造形大学教授となる。
ほか、カルチャーセンターや子どものためのワークショップの講師も務める。
絵本は『ころころころ』『もこもこもこ』『カニ ツンツン』など多数。
2011年宝塚市の病院で死去。享年88歳。
300×295mm 本文226ページ
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