サイズ
高さ : 2.80 cm
横幅 : 14.80 cm
奥行 : 20.80 cm
重量 : 480.0 g ※梱包時のサイズとなります。商品自体のサイズではございませんのでご注意ください。
双極性障害の患者にはさまざまな心理社会的問題が発生するが,薬物療法のみでそれらに介入するのは難しい。本書では薬物療法との相補的な治療法としてCBTを提唱,治療の全体像から具体的な技法や社会的問題への取り組みまで,豊富な事例を交えて解説する。――「双極性障害におけるCBT」理解のための決定版。 臨床で本疾患の患者さんに数多く接するうち,彼らに心理療法的援助がいかに必要かを痛切に感じることは多かった。薬物療法以外に予防的に何かできることはないだろうか,アドヒアランスを効果的に高める介入とは何か,生物学的理論とどのように統合して心理的介入を行ったらよいのか,度重なるエピソードの反復のために歪み傷ついた自己像,疾患で背負うスティグマ,これらにどう対応していくべきなのだろうか……。課題は山ほどあるように感じられた。そして,何より当事者自身も何らかの心理療法を求めているのは明らかだった。 本書の初版は1999年に発刊された。この間,気分障害臨床の変化には著しいものがあった。うつ病概念の拡散と患者数の著しい増加に引き続き,双極性障害の概念もまた拡大し,そのことに注意を払い診断する機会が随分と多くなった。ところが,たとえ診断がついたとしても,残念ながらその後の心理療法的戦略というとはなはだ心許ないものしか持ち合わせていないのが我々の実情である。また,うつ病に対する復職支援(リワーク)プログラムが近年わが国で注目されるようになったが,ここでも双極性障害の問題は大きいと感じた。復職できずに慢性化している多くの患者さんに双極性障害が少なくないからである。 一方,双極性障害に対するCBTのエビデンスはその後も着実に増えて,ますます無視できないものとなりつつある中, 2010年に本書の第2版が登場した。 本書のアプローチはCBTを双極性障害用にアレンジしたものであり,技法そのものも正統的な内容である。しかしながら,決して心理療法のみに先鋭化するのではなく,生物学的理解を統合した理論に基づきつつ,極めて常識的かつ良識的に治療論が展開されている。何より素晴らしいと感じるのは,実地臨床における治療の限界を謙虚に認めつつ,そこでもCBTの基本である協同作業を貫きクライアントに寄り添い続ける臨床姿勢である。本書は,双極性障害で生ずるさまざまな心理的問題に対し, CBTまたは体系的精神療法に何ができるのかを問うた意欲作と言っても過言ではない。極めて臨床的な問題を詳細かつ丁寧に検討していくその著述は,数多くの臨床例に日々全力で向き合ってきた者でないととても書けないものであることは明らかである。明日からでも臨床で使える知恵に満ちたものだと思う。私はCBTとは,当事者の視点に立ち,彼らを深く理解するためのツール,いわば我々が彼らの元へきちんと“降りていく"ためのツールの一つであると思っている。