サイズ
高さ : 2.30 cm
横幅 : 15.60 cm
奥行 : 21.70 cm
重量 : 510.0 g ※梱包時のサイズとなります。商品自体のサイズではございませんのでご注意ください。
明治期には、宗派改革に向けた論議が活発に行なわれ、多様な本願寺論が提起された。多くの篤信の門徒を抱える両本願寺では、在家信者も改革運動に参加した。ところが明治後期になると、その改革運動は、宗政当局者の圧力と切り崩しによって挫折し、そのことは、今日ほとんど知られていない。明治初年にはじまる本願寺改革とその挫折とは、その後の宗派の方向性を決定づけるものであり、そこで提起された諸課題は、今日において宗派組織を再考する上でも、重要な意味を有していると考えられる。 本書では、近代本願寺の改革論や在家信者の動向に関する五編の論文を収めた。さらに最後の第六章には、一八九七(明治三十)年に本願寺派末寺僧が本山内部の腐敗を告発して刊行した『暗黒本願寺論』を復刻し解題を付した。 以上の構成により、明治期における本願寺論展開の過程を検証することを通じて、当時の議論が宗派組織のあり方の問題点にどこまで迫り、いかなる本願寺像を提示し得たか―、その一端を明らかにすることに努めた。(中西直樹)