サイズ
高さ : 2.00 cm
横幅 : 13.00 cm
奥行 : 18.90 cm
重量 : 300.0 g ※梱包時のサイズとなります。商品自体のサイズではございませんのでご注意ください。
子どもの命を救うのか、否か。私たちに迫る二者択一の主張には問題がないのだろうか。 差別や偏見に繋がりかねないリスク要因を数え上げ、子どもを家庭から引き離す政策を維持するのか。社会保障や福祉サービスを整備し、家族に貼り付けられた「虐待リスク」を社会の責任で確実に減らしていくのか。私たちはどちらのタイプの社会を選ぶべきか。 【目次】 はじめに 第1章 児童虐待の発見方法の変化――目視からレントゲン、そしてリスクへ 1 目視による発見 2 レントゲンによる発見 3 リスクによる発見 第2章 心理と保険数理のハイブリッド統治 1 心理化 2 リスクアセスメント化 3 心理と保険数理のハイブリッド統治 第3章 「子育て標準家族」はどこから来たのか 1 リスク配分のポリティクス 2 虐待リスクについての議論 (1)作成段階 (2)使用段階 3 「子育て標準家族」の構築 第4章 ネオリベラルな福祉 1 児童福祉から児童保護へ――ニーズからリスクへの読み替え 2 児童虐待事例再訪 3 ネオリベラルな福祉――新しい責任主体 第5章 親による親子分離の語り 1 児童虐待問題の位置づけ――国際比較研究による3つの分類 (1)児童保護システム (2)コミュニティ・ケアリングシステム (3)家族サービスシステム 2 親子分離を経験した親へのインタビュー (1)Aさん (2)Bさん (3)Cさん 3 日本の「児童虐待防止システム」の問題点 4 国際比較研究からの示唆 第6章 一時保護を経験した子どもの語り 1 一時保護の経験――Aさんの語り 2 児童虐待防止システムの「正常な」作動 3 インターセクショナルな差別 4 「例外状態」としての児童虐待 (1)アガンベンの「例外状態」 (2)望ましいソーシャルワークの「例外」 5 不可能な任務――調査と援助の二重の役割 第7章 多文化と児童虐待 1 虐待という視点 2 外国籍の親からみた日本の児童虐待防止対策 (1)韓国人家族 (2)ベトナム人/カナダ人家族 3 何がなされるべきか 第8章 「不十分な親」の構築――ヤングケアラー概念の批判的検討 1 ヤングケアラー概念の台頭 2 ヤングケアラー概念のどこが問題なのか――英国の議論を参照して (1)財源配分と福祉カテゴリー (2)「不十分な親」の名指し 3 依存をめぐる対立構造 第9章 ソーシャルハーム・アプローチの挑戦 1 虐待の有責性をめぐる議論 (1)親というアイデンティティの否定 (2)環境要因の自己責任化メカニズム 2 ソーシャルハーム・アプローチ 3 経済と承認の社会的再配分 4 交渉の様式 5 揺さぶられっ子症候群への異議申し立て活動 あとがき 関連する初出原稿 文献 索引