スローテーパー ディスティル GL54
膨大な釣り経験値を持つスローテーパー林さんが考える、カーボンのトップウォーターロッドのコンセプト・理想を形にしたロッド。 フィールドの性質(オーバーハングの有無など)や使用者の体格などからGL58ではちょっと長い、と感じる場合は今回の54は最適かと思います。また今回素材も一部変更され、より扱い易くなりました。 随所まで考え作りこまれているので性能面は言うまでもありませんが、段巻きやスパイラルラッピングなどデザインにもこだわってあり、非常に美しい仕上がりです。
■長さ:5.4feet class
■推奨ルアーウェイト:~24g程度
■中弾性カーボン製
■フェルール仕様
■布袋付
※こちらの商品は実店舗、GIZMOヤフー店、ヤフオク店併売となります。時間差で売り切れの際はご容赦ください
【メーカーコメント】
今回のGL54の製作にあたりショートロッドについて改めて熟考してみました。過去から現在に至るまでフィールドの変化、ルアーの進化や主流ラインの変化含めた釣りの変化、スタイルの多様化、ロッドの素材と製造技術の進化等々… 様々な方面から鑑みた時にショートロッドの基準も変わった様に思いますしそれに伴い実釣においてショートロッドと言われるロッドの範囲がある程度定まってきた様に思っています。
その理由の一つとして正しいキャストをすれば大幅に短くする必要がないという事です。
極端なショートロッドでのキャスティングにおいてリストスナップではなく肘を支点にして前腕を振り下ろす様なキャストになりがちでフィニッシュ時点で肘が伸びているアングラーが多いように思います。これは短くなることによって飛距離が短くなる事やフォロースルーなどを無意識に腕全体で補おうとすることにより発生する場合が多いのですが、肘を引いてコンパクトなリストのスナップでキャストをすればより楽に、そして精度も高まり加えてラインコントロールもしやすくなります。
またソリッド素材など素材その物が重い場合は全体重量を軽量化したりトップへヴィーになりがちな部分を補うために短くする利点はありますが現在のカーボンチューブラ素材であれば十分軽量でロッドウェイトを軽くしアングラーの負担を軽くするという部分も昔に比べれば少なくなった様に思います。(参考までにGL54は35g±です)
そしてもう一つ。キャスティング、ジギング、船釣り全てにおいて船からのビッグゲームロッドがショートロッドであるように短い事により魚とのファイトの際体力的負担が少なくアングラー側に有利に働きます。しかしバスに関して言えば強く大きかったとしても人間の体力の限界に近づくファイトの性質の魚ではなくむしろロッドの曲がりによるクッション効果や復元力がとても重要になる為、ある程度の長さがあった方がメリットが遥かに大きいと考えるからです。
僕自身ロッド開発に携わって長い事もあり3ft後半〜7ft前半まで試作をし実際にフィールドでテストをしてきました。しかし機能面と使用感のバランスを考えた時に必要以上に長いロッドも短いロッドもそのメリットは限定的なものになってしまいます。その点を改めて考えると昔から存在する一般的な5.6ftから6ftのレングスは非常にバランスが良くとても汎用性の高いレングスと言うのが良くわかります。
その上でトップウォーターゲームのさまざまな場面においてショートロッドに求められる機能と短さのバランスを考えた完成型がGL54となります。このレングスであればショートロッドのメリットを感じられますし逆に短いことによるデメリットも感じません。テーパーデザインからくるスタンダードレングスに大きく引けを取らない飛距離の対応力もありますし、ショートレングスならではの軽快性も感じられる非常にバランスの良いロッドだと思います。
但しレングスはあくまで参考にすぎません。トップウォーターロッドのレングスを語る上で昔から現在に至るまで数値のみで語られており体格に対してのレングス感覚の重要性が語らえれていません。僕は現在日本人の中では平均身長よりは若干小柄な169cm。例えば180cmの身長の方が同じロッドを使えばより短く感じるでしょうし小柄であればその逆のはず。体格や筋力などでレングスの感じ方は異なるのであくまでSlowtaperは日本人男性の平均的な所から見た感覚と捉えていただければ幸いです。
また今回大きな改良点として素材の見直し、変更を行なっております。以前製作したGL54はDISTILLシリーズで唯一低レジンなどと呼ばれる素材を使っています。カーボンロッドにおいてレジン量は重要なのですがレジンが少ない事はメリットもあればデメリットもあり単純にレジンが少ないから良い、多いから悪いと言うものでもありません。この点は釣りの性質や求めるものによって変わってくるものなのですが今回なぜ変更したかと言うとやはり一番の理由はこの釣りで最も大切な要素であるキャストフィーリングです。
前作GL54は極端に言えば芯がある様な張りがありルアーウェイトの重みが乗る際の溜め感が少なく戻りも速いイメージでしょうか。一方で今回のアップデートしたGL54はGL58と同じ様にスムーズに曲がり込みスムーズに戻ると言った印象と言えばわかりやすいかもしれません。
実際に実釣でロッド以外全く同じ組み合わせでキャストし動かし比べテストを重ねましたがキャストフィーリングに関して今回のGL54は確実に向上しています。ただ誤解のない様に申し上げますとこの点において弊社ロッドの最も重要視する課題ですし前作も短い分かなり入念に確認しましたので決してキャストフィーリングが悪いという事はありません。あくまで比べればの話として捉えていただければと思います。しかしそれを考慮したとしても前回のGL54を上回る気持ち良さがある事は間違いなく、それゆえに素材変更に踏み切ったというのが正直なところです。
また他にもスムーズに曲がり込むという事はキャスティングだけでなくもう一つの重要のバスとのファイトにも大きなメリットがあり、特にコンディションが良い強くスピードが速い大きなバスになればなるほどその差がより大きく現れます。
具体例として一つ挙げると船縁で強くした方向へ潜り込まれた際に腕をロッドの延長そして強い引きに対し対応する事が出てきますがNEW GL54はロッドを同じ角度で保持をした際に自然に追従する印象が強くなりかなりいなしやすい感覚があるかと思います。
長々と記させていただきましたが久しぶりに製作するGL54は他のDISTILL機種同様今の僕の感覚ではこれ以上触る所はないと言い切れる段階まで来ました。そして他のDISTILLシリーズと併用した際などの統一感などもこれ以上ないという段階まで来ています。Slowtaperは既成概念にとらわれずフィールドで釣り込みこの釣りに求める機能、そして道具としての美しさを最優先に今後も製作して行きたいと考えています。大きな自信を持ってリリースする新たなGL54。フィールドでお試しいただけますと幸いです。