楽譜 阿部勇一/ゆく蛍 雲のうへまで【吹奏楽スコア】(FML-0305FS/302-18295/小編成/G.4+/T:08:10)
ゆく蛍 雲のうへまで
出版社:フォスターミュージック
ジャンル:吹奏楽
サイズ:A4
初版日:2022年04月01日
この曲は平安時代に成立した「伊勢物語」の第45段「ゆく蛍」に収められている「ゆくほたる くものうへまで いぬべくは(ゆく蛍雲の上まで往ぬべくは秋風吹くと雁に告げこせ)」という和歌を題材にしています。主人公の男性が、自分に想いを寄せながら打ち明けることなく亡くなってしまった娘を思い詠んだ歌で、「飛んでゆく蛍よ、雲の上まで行けたなら、秋風が吹いていると雁に知らせておくれ」と訳されます。季節は夏、暑かった日が暮れ、夜更けには初秋を思わせる涼しい風が吹いてきました。ふわりと高く舞い上がる蛍を見上げ、男が詠んだのがこの歌です。雁は秋の渡り鳥ですが、古来より遠い人の便りを運んでくるという言い伝えがあることから、「もう秋風が吹いているよ、娘の便りをもって早く渡ってきておくれ」と蛍に伝言を託している、そんな感じでしょうか。日本人独特の繊細な感性がよく表現された美しい歌だと思います。一途に男を想いながら亡くなった娘と、娘の死を悲しみ蛍に思いを託す男性、どちらの心もとても純粋で美しく尊いものです。今回は、この物語から感じた「悲しさ、切なさ、美しさ、強さ」をイメージして作曲しました。演奏上の注意点としては、ゆったりとした部分でも一定の推進力は忘れないで演奏して頂ければと思います。(阿部勇一)
FML-0305FS/302-18295/吹奏楽譜(スコア):小編成/G.4+/T:08:10
収載内容:
ゆく蛍 雲のうへまで