楽譜 河邊一彦/ガラシャ【吹奏楽スコア】(FML-0281FS/302-09296/大編成/G.5/T:11:17)

ガラシャ

出版社:フォスターミュージック
ジャンル:吹奏楽
サイズ:A4
初版日:2021年02月24日
この曲は、戦国の世に波乱万丈の生涯を送った細川ガラシャを描いた作品です。 明智光秀の娘として生まれた彼女は、主君、織田信長に対する父の謀反(本能寺の変)により悲劇的な運命をたどります。逆賊の娘という烙印を押された彼女は、やがてキリスト教へと傾倒し「ガラシャ Gracia」という洗礼名を授かります。それは、ラテン語で「恩恵、神の恵み」を意味する言葉です。戦国の動乱に巻き込まれ、やがて覚悟の死を遂げるガラシャ、わずか三十八年の生涯でした。 曲は、不穏な世を表す短い前奏の後、儚げなガラシャのテーマで始まります。テーマが次第に高揚していくと、鍵盤楽器群の急速で不安なモティーフの上にグレゴリオ聖歌「最後の日 Dies Irae 」が金管群によって強奏されます。やがて父である明智光秀の主題、そして本能寺の変を現すパワフルでドラマティックな音楽へと流れ込んでいきます。低音楽器群が光秀の強い覚悟を表すような主題を奏でると、次第に音楽は静まっていきます。 中間部では、教会のステンドグラスから差し込む穏やかな光の中で神に祈り、また隠棲の地“味土野"で、幸福だった日々を懐かしむガラシャの姿が描かれます。しかしその追想も束の間、静寂の中から、不気味な不協和音をきっかけに石田三成の軍団が現れます。(石田三成は、徳川家康が上杉討伐に兵を起こした際に、これに従った細川忠興を始めとする大坂城下に屋敷を構える家康方の大名から人質を取ることを企て、慶長5年(1600)7月17日、まず細川家屋敷に軍勢を差し向け、ガラシャに人質になるよう強要したのです。ところが、彼女はこれを敢然と拒否し、屋敷に火をかけて最期を遂げました。)強烈な野心と一糸乱れぬ行軍を現す5拍子の音楽が最高潮に達すると、自らの死を悟ったガラシャの辞世の句 "ちりぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ"のテーマが奏でられます。やがて、ガラシャの嘆きと悲しみを表すような悲壮なファンファーレの後、鋭いリズムの連打で強烈に曲は閉じられます。 この作品を通して、運命に翻弄されながらも神への信仰を通じて自らの人生を全うしたガラシャに、心を寄せてくださる方が一人でも増えることを私は願っています。(河邊一彦)早稲田吹奏楽団40周年記念委嘱作品

FML-0281FS/302-09296/吹奏楽譜(スコア):大編成/G.5/T:11:17

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ガラシャ