【中古】江戸川柳で読む百人一首/阿部達二/角川書店 4-2
【内容情報】
百人一首は数百年にわたり、日本人の美意識、恋愛観を涵養し支配してきた。江戸期には、中流以上の家庭の正月遊びに「歌かるた」として親しまれ、浄瑠璃や謡曲の詞章はおろか、力士の四股名にさえとり入れられた。本書では、百人一首のほとんどの歌をパロディ化し、親しみをこめて作者をからかっている江戸川柳をひもとき、千数百年の昔の人びとの心を伝える百人一首の魅力と、江戸人の豊かな学識と機智の世界に読者を招じ入れる。
【目次】
秋の田のかりほの庵のとまをあらみわが衣手は露にぬれつつ/春すぎて夏来にけらししろたへの衣ほすてふ天のかぐ山/あい曳の山どりの尾のしだり尾のながながしよをひとりかもねむ/たごのうらにうちいでて見れば白妙のふじの高ねに雪は降りつつ/おくやまに紅葉ふみ分けなく鹿の声きく時ぞ秋はかなしき/かささぎのわたせる橋におく霜のしろきをみれば夜ぞふけにける/あまの原ふりさけみればかすがなる三笠の山にいでし月かも/わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり/花のいろはうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに/これやこの行くも帰るもわかれてはしるもしらぬもあふ坂の関〔ほか〕