鹿児島県出水地区の海苔の入札で、最高の評価を受けた海苔を加工した逸品です。
鹿児島県の出水は、日本で一番南の海苔生産地になります。
出水で海苔の養殖が開始されたのは明治時代からです。
海苔は、海水の栄養分と太陽光によって成長します。植物が土の栄養分と太陽光による光合成で成長するのと同じです。
しかし、海は広大なので農業のように肥料を与えることは出来ません。
ですから河川等によって海に運ばれてくる栄養分が必要となってきます。
出水の浜は、背後の広葉樹林の山から伏流水があり、遠浅の海のため干出(太陽光にさらすこと)にも適しています。
11人の少ない生産者は手間を惜しまず、愛情を持って海苔を育てており、この海苔の生育に適した環境と生産者の愛情が出水の海苔の美味しさの源なのです。
また、昨今の海苔養殖では一般的になった「酸処理」を、出水の漁場では一切行っていません。
酸処理することで、海苔の病気の病原体の細菌や他の藻類の繁殖を抑えたりする効果があり、生産者の手間が省かれ生産効率は上がりますが、酸が海を汚染したり海苔の風味が損なわれるといった弊害があると言われています。
出水では「自分達の海を汚すものは使わない」、また「自然に近い環境で育てる」ことにこだわっています。
出水の海苔の生産量は約1千500万枚で、全国の100億枚の生産量からすると0.15%のシェアでしかありません。
ほとんどの方が食べたことが無いと思いますが、味の良さは定評がありますので、ぜひ出水の海苔を味わってみてください。
出水の無酸処理海苔を製造している「海苔のこたに」代表の谷口俊朗さん
まず陸上で浮きダケに海苔網を括りつけ、同時に海苔ダネの入ったカキ殻を、ビニール袋に入れて海苔網に括り付けます。
海苔ダネの入ったのカキ殻です。春から夏場は海苔はカキ殻などに胞子となって潜り込んでいます。
陸上で準備が出来たら、海苔網を漁場へ船で運搬します。
支柱に固定しながら広げていきます。網は1.8m幅で20mの長さがあります。1区画に8枚程度の網を張ります。
海苔網下の海苔ダネを入れたビニール袋に海水が入った写真です。この海水に海苔の胞子が出てきて、網に付着したら海苔の植え付けが出来たことになります。
この海苔網を張った2〜3日後に、海苔の胞子の付き具合を確認します。付きが確認出来たら海苔ダネの袋ははずします。
また他にも、海苔の生長を阻害する藻類やごみなどの異物を除去するために、ポンプ機で網を洗う作業も行います。
※この海苔網を張る前にも、海苔ダネの育成、網の支柱組などは必要です。
出水は冬の北風が強く、冬季の海苔摘みは転覆の可能性があるので、船に乗っての作業は出来ません。
北風の中、防水着を着ての作業は厳しいですが、おいしい海苔が取れることを励みに頑張っています。
この写真は12月の初摘み(シーズンで初めの収穫)を手摘みで行ったときのものです。
全ての海苔摘みが手摘みで行われるわけではなく、写真のような小型の適採船でも行っています。
収穫期は12月から3月までです。
手漉き・天日干しで板海苔に加工する時の工程です。
手漉きは和紙と漉くのと同様に、型枠に均一になるように海苔をすくい、乾燥用のスノコに広げます。
そのスノコを、組み木に並べて数時間の天日干し行い、乾燥させます。
手漉き・天日干しは人手が掛かるため、出水でもすべての生産者が行っているわけではなく、全自動の機械も利用してます。