昨年秋に敢行された列島縦断ツアー "AUTUMN BRIGHTNESS TOUR '08"。
10月頭に仙台からスタートして、盛岡、青森、宇都宮、浜松、金沢、京都、高松、松山、広島、福岡、長崎、熊本、鹿児島、宮崎、
そしてファイナル、東京リキッドルームまでの計17カ所を1ヶ月で回るというツアー。
週末に呼ばれ、その街の仲間とその街の旨い飯を食べて、ライブをやって、日曜日に札幌に帰ってくるという通常のライブとは違い、
一度札幌を出たら、週末だけでなく平日も含め、17本、ずっとライブをし続けるという正真正銘のライブツアー。
この一直線に進んでいく(しかない)、過酷なツアーは、我々THA BLUE HERBにとっても大きな挑戦でした。
各街で行われた2時間のライブ。ステージ上で繰り広げられる、各街のオーディエンスとの決して1つとして同じではない夜達。
そしてそこに辿り着くまでの長い道のりと欠かさずに行われる次の夜への準備。
晴れの日も、雨の日も、良かった日も、良くなかった日も、全ての日程を帯同した盟友、森田貴宏のカメラが、常に無言で見つめていました。
製品は2枚組となります。DISC 1は仙台から宮崎までの全行程を収録。
MCのILL-BOSSTINOとDJ DYEが、試行錯誤を繰り返しながら、修正に修正を重ね、1MC1DJでの2時間のライブ、というアートの理想の領域へと近づこうとしていく姿、
そしてオープニングアクトとして全日程に参加したNORTH SMOKE INGと名乗る札幌の若きMC達、専属PA、ツアーマネージャー、更に各街の同士達との人間関係が映し出されていきます。
長い、過酷なツアーに伴い、ゆっくりと混ざりあっていく面々、そして決して混ざる事のない部分。何よりもその日、その夜、その街のオーディエンスのために生きている、
そうはっきり言える毎日が、秋の成熟と共に繰り返されていく。
満員の街、40人も入らなかった街、盛り上がった街、静かに聴き入っていた街、THA BLUE HERBの意志とは別に、現実のライブは過ぎ、流れ、そして終わっていく。
徐々に蓄積されていく疲労や挫折感、そしてそれを少しだけ上回る達成感。
探し続けるがなかなか見つからない、送り手と受け手が、完璧に、共感を、熱狂的に共有する「秋の輝き」。
そして終わりがないかに見えていた道のりの、はるか地平の向こう側にやがてぼんやりと見えてくる1つのキーワード。
すなわちツアーファイナル。
16カ所を終え、最後にそびえる巨大なヤマ、リキッドルームを残した時点でDISC1は終わります。
加えて、監督、森田貴宏の編集が、今まで表に出ることが多くなかったTHA BLUE HERBの人間性の深部まで踏み込んでいて、
オフショットも含め、彼等の間に常に流れていた空気感をリアルに映し出しています。
ステージ上でのストイックな姿と対照的なオフの「笑い」。
THA BLUE HERBを語る上で決して切り離せない、この陰と陽の2面性を、THA BLUE HERB自身もいよいよカメラの前でさらけ出し、森田貴宏も、画面上にさらけ出す。
両者の信頼関係がなし得た編集を大いに楽しんで欲しいです。
DISC2はツアーファイナル、東京リキッドルームでのライブを収録。
これはDISC1とは一転異なり、編集のギミックを一切排除した、LIVEそのものの再現。移っているのは、最早THA BLUE HERBとオーディエンスだけ。
この先はない、どん詰まりの一夜。
16回続けてきたライブセットの進化が、真価が問われる最後の大立ち回り。
2時間のヤマを超えた、その夜の、そしてツアーの最後、鳴り止まないオーディエンスの拍手が、明るくなったリキッドルームに響く。
ずっと探していた「秋の輝き」は手に入ったのか?その輝きの明るさとはどれほどのものか?