サイズ
高さ : 2.60 cm
横幅 : 15.20 cm
奥行 : 21.20 cm
重量 : 620.0 g ※梱包時のサイズとなります。商品自体のサイズではございませんのでご注意ください。
本書には2つの大きな目的がある。まず1つは、マルチエージェントシミュレーションの可能性を社会現象への応用という方向に広げることである。マルチエージェントシミュレーションないしエージェントベースのシミュレーション手法は、並列処理から検索エンジンまで様々な分野で既に使われているが、最近になり社会(といっても生物全般を念頭に置いた広い概念)の理解・分析に応用しようとする動きが出ている。本書は、そのような動きを一層盛んにすることをめざしている。 もう1つの目的は、いかにマルチエージェントシミュレーションが簡便容易にできるようになったかを示すことである。理工系と比べて人文・社会系の学問にマルチエージェントシミュレーションがなかなか浸透していかない原因の1つがプログラミングの難しさにある。もしプログラミングが不要になれば、あるいは簡単にできるようになれば、マルチエージェントシミュレーションの可能性は大きく広がるだろう。本書は、様々な具体例を示すことによって、マルチエージェントシミュレーションを試みる上での障害を減らすことをめざしている。 株式会社構造計画研究所は、従来から社会現象への応用を念頭に置いて、マルチエージェントシミュレーションに関心を持ち、使いやすいマルチエージェントシミュレータの開発を試みてきた。その成果であるKK-MASを用いて、マルチエージェントシミュレーションの実際を垣間見てもらおうとしたのが本書である。書名である『コンピュータのなかの人工社会』とは、パソコンにKK-MASをインストールし、そのソフト上に人工的に様々なタイプの社会を構築することを意味している。 マルチエージェントシミュレーションと呼ぶのに相応しい実験はすでに1960年代に社会科学分野で試みられている。しかし本格的なマルチエージェントシミュレーションに基づく研究は始まったばかりである。マルチエージェントシミュレーションの可能性を様々な角度から、肯定的にせよ懐疑的にせよ探ってみることが必要であり、本書がそのような動きの起爆剤になればこれにまさる喜びはない。(まえがきより抜粋)発行元:(株)構造計画研究所/発売元:共立出版