サイズ
高さ : 4.20 cm
横幅 : 13.80 cm
奥行 : 19.40 cm
重量 : 640.0 g ※梱包時のサイズとなります。商品自体のサイズではございませんのでご注意ください。
********************************* 綺想、そしてロマン主義の英文学研究で名高いイタリア人学者が1934年から69年まで住んだローマ・ジュリア通りのパラッツォ・リッチの部屋をひとつずつめぐり、室内を通して時代と人生を語る。 ナポレオン帝政様式の家具や絵画、蔵書棚が埋め尽くす食堂・大広間・子ども部屋・寝室……。〈もの〉の記憶から過去の時代や物語が紡ぎ出されるさまは、古代からルネサンスへと伝承した「記憶術」をも想起させる。 ファシズムと戦争。孤独なイギリス時代。書物と現実のなかで出会った人びと。キャリア形成の運と不運。愛した女性たち。結婚と離婚。蒐集への情熱。 やがて著者は黄昏のなかで、自らの老いと骨董品化に向きあう。全篇に漂うアイロニーから悲哀が光を放つ。 館の中で紡がれる空間と時間を超えた博識の旅。これは20世紀の類を見ない文学であり、自伝的作品である。記憶と家の描写が絶妙に絡み合うなかで、著者が語るのは幸福の探求ではなかったか。 著者が晩年を過ごした自宅パラッツオ・プリーモリは現在、「マリオ・プラーツ美術館」として公開されている。 折り込みのカラー口絵八枚のほか、室内装飾を伝える写真を多数収載。