アートブック 作品集 Martin Bollati マルティン ボッラーティ HERMES/UNESCO

どこかで見たことのあるようで、見たことのない作品ばかりが収録された本書。
この本はユネスコの世界遺産に登録された作品(写真)に人工知能（AI）を介入させて生まれた、「架空」の考古学的コレクションブック。
アルゼンチンの出版社SED EDITORIAL主宰であり、ビジュアルアーティスト、編集者、研究者と多彩なマルティン・ボラーティによる本書。
999点ものイメージを収録した本作は、本来出会うことのなかったはずの古代文明同士の交わりを画像上で可能になり、また片方の断片がもう一方に及ぼしていたかもしれない潜在的な影響について推測させる情報を生み出します。
すでにAIによる画像生成が一般化した現代では、フェイクが真実のように露呈し混乱や騒動を引き起こすケースも多々あります。
今後フェイクの方がおおやけになり、真実を完全に乗っ取ってしまったら人々の記憶はどうなるのか。
もし自身がその事態に巻き込まれたら周りの人たちは信じて続けてくれるでしょうか。
視覚的な遊び心が溢れながらも、AIによるデジタルコンテンツが普及している現代へその脅威と疑問を投げかける１冊となっています。