大それた言い方のようですが、糖尿病は遺伝病といってもよい病気です。
そもそも、同じ食生活をしていても、糖尿病になる人と、ならない人がいるのはなぜでしょうか?
「糖尿病の自分よりも、もっと非健康的な生活をしているあの人は、なぜ糖尿病にならないんだろう...?」
答えは「遺伝子」です。言い換えれば、体質です。
たとえば2型糖尿病の場合は、もともと、「遺伝的に糖尿病になりやすい方」が、加齢、生活習慣が崩れたり肥満、運動不足、ストレス、たばこなどの環境因子を原因として発症します。1型糖尿病も、HLAなど20種類弱の遺伝子が発症に関与していると考えられています。
そのため、どんなに気をつけても糖尿病を発症することもあれば、糖尿病になりやすい体質でも、環境によっては発症しないことがあります。
ぼくは10歳の時に2型糖尿病と診断され、のちに遺伝子診断で実はMODY3(家族性若年糖尿病)であったことがわかった糖尿病患者であり、糖尿病の方を診療する糖尿病専門医でもあります。
日々診療の中、医師・患者目線から糖尿病のことについてお話します。書くことができればと、患者さんは勿論のこと、糖尿病の診療に関係する医療者にもお伝えできそうなことも書いてみました。よければこの本をご覧いただけますと嬉しいです。
※本データはこの商品が発売された時点の情報です。