

パワートレインはガソリンエンジンなどの内燃機関や電気モータのような原動機と発進装置、トランスミッションやディファレンシャル歯車のような動力伝達機構から構成される。このパワートレインの使命は要求された駆動力を滞りなく安全に供給することである。パワートレイン制御は快適性や効率を犠牲にすることなくこの使命を実現しなければならない。
原動機においては安全で、連続的安定的にパワーを発生させるための制御が第一であり、次に運転者に要求されたパワーを出すための出力制御である。発進装置と動力伝達機構においては原動機と車両の間のパワーマッチング(特に速度の違いを損失最小条件で合わせる)が必要である。
著者は自動車会社で原動機と動力伝達機構の研究開発に27 年間携わってきた。続いて大学で内燃機関や動力伝達について教えている。その経験から、パワートレインの制御の一部を手がけるにしても、原動機で数十kW のパワーが発生しそれがタイヤに伝達されて車両が運動することを理解しておくことが必要と考えている。そのため制御方法だけ でなくエネルギー変換と伝達過程や運転者の挙動についても記述している。さらに定性的な理解だけでなく、制御を考える上で定量的な理解が必要であるため、パワートレインモデルによる解析も取り上げている。また、数値解析だけでなく数式モデルを解くための数式処理システムの扱い方を説明している。
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